全米ベストセラー小説の禁断の映画化!
ハリウッドスターたちが衝撃的なタブーに挑戦した、
あまりにもスキャンダラスな真夏のミステリー

神様が汗をかくほど蒸し暑く、美しくも残酷な夏。
抗いようのない魔性の引力に囚われた若者は、
禁断の闇を覗き、永遠に忘れられない最初で最後の恋を経験した

 フロリダ州の小さな町で鬱屈した日々を過ごす青年ジャックにとって、うだるように暑い1969年の夏はいつにも増して退屈な季節になるはずだった。はからずも大学を中退し、父親の会社で新聞配達をしている彼は、取りたててやりたいこともないし、ガールフレンドもいない。そんな時間をもてあましたジャックのもとに、ある日突然、思わぬ任務が舞い込んでくる。マイアミ・タイムズ記者の兄ウォードが、ある殺人事件の死刑囚の冤罪疑惑を取材するために帰省し、その助手を務めることになったのだ。さらにジャックは獄中の死刑囚の婚約者シャーロットにたちまち心を奪われ、胸が張り裂けそうなほど切ない想いを募らせていく。やがて殺人事件の深い闇に分け入り、叶わぬ恋に身を焦がすジャックが目の当たりにしたのは、想像を絶する悪夢のような現実。かくしてイノセントな若者の最も刺激的な夏は、生涯忘れえぬ残酷な夏へと変貌していくのだった……。
 悲惨な家庭環境のもとで虐げられて育った少女の希望への道のりを描いた『プレシャス』で全米の映画賞レースに新風を吹き込み、作品賞と監督賞を含むアカデミー賞6部門にノミネート(うち助演女優賞、脚色賞を受賞)。この一作でアメリカン・インディーズの新たな才能として脚光を浴びたリー・ダニエルズ監督が、ザック・エフロン、ニコール・キッドマン、マシュー・マコノヒー、ジョン・キューザックというそうそうたる豪華キャストを迎え、待望の新作を完成させた。
 ところが2012年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、世界中のジャーナリストにお披露目されたその話題作『ペーパーボーイ 真夏の引力』は、前作のような“感動作”とはテーマも作風もまったく異質で、身震いするような衝撃を呼び起こす映画だった。世間知らずで愛に飢えた孤独な若者を主人公にしたひと夏の青春物語は、凶暴なまでにスリリングでスキャンダラスな事件性をはらみつつ、魔性の誘惑にも似た強烈な引力をみなぎらせ、あらゆる観客を虜にしてしまう正真正銘の問題作だったのだ。

予告編::http://youtu.be/Qn7n67VD7JY

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執筆者

Yasuhiro Togawa