『悪人』の吉田修一原作の同名小説を、『まほろ駅前多田便利軒』の大森立嗣監督が、7年ぶりの主演となる真木よう子を迎え映画化した『さよなら渓谷』(6月22日公開)の予告編がついに解禁となりました。完成した予告篇では、どこにでもいる普通の夫婦が、実は15年前におきたある事件の被害者と加害者であり、二人はなぜ一緒にいるのか−と、観る人に訴えかける仕上がりとなっており、真木よう子さんが歌うエンディングテーマ「幸先坂」がなんとも切なく、心をしめつけます。

これは憎しみか、償いか、それとも愛か。
緑豊かな桂川渓谷で起こった、幼児殺害事件。実母が容疑者として逮捕され、事件は終息へ向かうと思われた。そんな中、隣家に妻とふたりで暮らす尾崎俊介(大西信満)に、その母親と不倫関係にあったという疑惑が浮上する。その証言をしたのは、なんと俊介の内縁の妻、かなこ(真木よう子)だった。現場取材を続ける週刊誌記者の渡辺(大森南朋)は、15年前に起きたある事件にたどり着く。その事件が尾崎夫婦の、とてつもない秘密へとつながっていくのだった——。

原作は「悪人」「パレード」など、海外でも高い評価をうけている芥川賞作家・吉田修一の長編小説「さよなら渓谷」。人の心に潜む「業」に迫った重厚で壮絶な物語は、「悪人」を超えたとの呼び声も高い。監督にはベルリン国際映画祭招待作として上映された『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』、『まほろ駅前多田便利軒』で、熱烈な支持を得ている大森立嗣。

主人公・かなこを演じるのは真木よう子。『ベロニカは死ぬことにした』以来7年ぶりの単独主演作となる本作では、憎しみと愛情の狭間で揺れ動く女性の心理を官能的、かつ大胆な演技で挑戦している。また、その夫・俊介を演じるのは『赤目四十八瀧心中未遂』『キャタピラー』で強烈な印象を残す大西信満。夫婦の過去を探る記者・渡辺には大森南朋。本格的な兄弟タッグ作品としても注目を集める。そして、記者・渡辺の相棒役として事件解明に活躍する鈴木杏。その他、かなこの元夫でかなこへの執着心と繊細な心を持つ男に井浦新、俊介の同輩であり今は大企業の取締役に新井浩文、そして渡辺との不和を解消できない妻に鶴田真由が揃い、本作のドラマをより強く盛り上げている。

予告編::http://youtu.be/L02R6GQL21g

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執筆者

Yasuhiro Togawa