この度、欲望渦巻く宮中で生き抜こうとする女性の姿を、華やかかつ官能的に描いた新しい時代劇として話題となっている、『後宮の秘密』が6月より、シネマート新宿他にて全国順次公開する運びとなりました。本作はその官能描写により、韓国で“青少年観覧不可等級”というレーティングがつけられたが、今までの時代劇にはほとんど登場しなかった寝殿での王の姿がエロティックかつ人間的に描かれた大胆な表現が話題を集め、興行ランキングでは初登場1位の座を獲得し、青少年観覧不可等級の韓国映画史上最高のオープニングスコアを記録。最終的には260万人以上の観客を集める大ヒット作となりました。

 監督を務めたのは、『バンジージャンプする』(00年)『ノートに眠った願いごと』(06年)など繊細なラブストーリーを生み出し、05年の『血の涙』(日本未公開)で「韓国型時代劇スリラーの新しい扉を開けた」と評されたキム・デスン。6年ぶりとなる本作では、「生き残るため、自分以外の人間を傷つけずにはいられない欲望の数々を見せたい」と、その演出意図を語っている。ヒロイン、ファヨンを演じたのは、10年の『春香秘伝 The Servant 房子伝』で、官能的な魅力を発揮したチョ・ヨジョン。伝統的な衣装を身にまとった美しさは圧巻。そんな彼女に狂おしいほど惹かれるソンウォン大君に扮したのは『国家代表』(09年)のキム・ドンウク。これまでの出演作では人懐っこさを感じさせることが多かったが、絶対的な力を持つ母の元での葛藤と感情の爆発を力強く演じ、大胆なラブシーンにも果敢に挑戦している。さらに、ファヨンへ複雑な思いを胸に宦官となったクォニュを『青い塩』(11年)のキム・ミンジュンが演じている。

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執筆者

Yasuhiro Togawa