1962年、小林悟監督『肉体の市場』(大蔵映画配給)が警視庁に猥褻容疑で摘発される。以後、独立系会社による低予算の成人向け映画が<ピンク映画>と称され、斜陽にあった日本映画界を立て直す大きな産業として急成長する。そして、反社会、反体制といったメッセージ性を掲げた若松孝二のアヴァンギャルドな作品群を筆頭に、若者からの熱狂的な支持を集め、メジャーの日本映画とは違ったパワーと魅力で映画的な評価も高まる。

渡辺護、中村幻児、高橋伴明、井筒和幸、滝田洋二郎、廣木隆一、周防正行、黒沢清、瀬々敬久、いまおかしんじなどが監督デビューし、若手作家が巣立つ場所としても、大きな役割を担う。また、白川和子、宮下順子、大杉漣など、ピンク映画を起点として成長を遂げた俳優も少なくない。

製作本数、専門館も減少し、現在のピンク映画が末期的な状況であることは否めないが、日本映画に唯一残されたプログラム・ピクチャーとして、作家性、娯楽性に富んだ良質な作品が生み出されていることは不変である。
ピンク映画半世紀の歴史は、紛れもなく日本映画を活性化させた大きな存在であり、ポルノというブランドに隠された「もう一つの日本映画史」である。

5月より長期に渡って開催してきた本特集のクロージング上映として、2012年ピンク映画傑作選、そして団鬼六原作×愛染恭子監督という豪華な顔合わせによる最新作『奴隷市』の先行上映を行います。ピンク映画の現在形をご堪能ください。

連日20:15より2本立レイトショー(2本連続上映)
※12/1(土)・7(金)・8(土)のみイベントのため20:00より開映

料金:一般・学生1300円 シニア1000円 毎週水曜レディースデー1000円 最終回1本800円
※12/1(土)・7(金)・8(土)のみイベントのため、1800円均一 
  11/17(土)よりチケットぴあにて前売券(指定席)2000円を発売開始

★期間中レディースシートを設置します(席数に限りがございます)。
★すべてR18作品。18歳未満の方はご入場できません。

12/1(土)〜12/11(火) 
《原作:団鬼六×監督:愛染恭子最新作『奴隷市』先行ロードショー》
12/1(土)〜12/4(火)
奴隷市(2012年/新東宝/愛染恭子監督/麻美ゆま主演) ★デジタル作品
阿部定 最後の七日間 (2011年/新東宝/愛染恭子監督/麻美ゆま主演) ★デジタル作品

12/5(水)〜12/7(金)
奴隷市(2012年/新東宝/愛染恭子監督/麻美ゆま主演) ★デジタル作品
奴隷船 <愛染恭子引退記念作品> (2010年/新東宝/金田敬監督/愛染恭子主演)

12/8(土)〜12/11(火)
奴隷市(2012年/新東宝/愛染恭子監督/麻美ゆま主演) ★デジタル作品
女囚701号さそり外伝 第41雑居房 (2012年/新東宝/藤原健一監督/葵つかさ主演) ★デジタル作品

12/1(土) 20:00〜 『奴隷市』初日舞台挨拶
ゲスト(予定):愛染恭子監督、麻美ゆま、ほか

12/7(金) 20:00〜 トークショー
「愛染恭子がバラす“団鬼六”の素顔」&女流緊縛師・椿珠陽氏による即席緊縛講座
ゲスト(予定):愛染恭子監督、椿珠陽(緊縛師)

12/8(土) 20:00〜 『女囚701号さそり外伝 第41雑居房』舞台挨拶
ゲスト(予定):葵つかさ、藤原健一監督ほか

特別料金 ¥1800均一(各種割引は適用外 名画座回数券、作品共通券は使用不可)
11/17(土)より前売券発売開始
・チケットぴあリザーブシート(指定席券)¥2000

執筆者

Yasuhiro Togawa