この度、70年代ホラー映画の狂気とヴァイオレンスで、クエンティン・タランティーノの『レザボア・ドックス』と『キル・ビル』を彷彿させるとして全米で話題騒然となった作品、『SUSHI GIRL』が、12月22日より銀座シネパトス他にて公開の運びとなりました。
オリジナル予告にてその世界観を確認し、期待度が高まっている中、いまだベールに包まれた『SUSHI GIRL』。タランティーノ監督作品『レザボア・ドッグス』と『キル・ビル』に捧げられたオマージュの数々を少しだけ解禁致します!!どのシーンに、どの作品のオマージュが隠されているか探すのも、本作を楽しむ観方のひとつかもしれません。本作をご覧頂く前に、『レザボア・ドッグス』『キル・ビル』を復習しておくと、『SUSHI GIRL』の面白さも倍増するのでは!?

1)キャッチコピー
「Revenge is a dish best served cold」     「Revenge is a dish best served raw」
『キル・ビル』のオープニングに登場する左の文言。実は、本作『SUSHI GIRL』のキャッチコピーにもなっているのが、右の文言。『キル・ビル』のキャッチコピーと意識しているのは明らかだ。直訳すると「復讐は冷えてから食べると一番おいしい料理」となるが、もっと意味を分りやすくすると「復讐というものは、すぐに実行するよりも、時間をかけてゆっくりした方が効果的」といったところだろうか。聖書には「目には目を、歯には歯を」と教訓を述べている箇所もあり、この復讐に関する言葉はアメリカではことわざのように使われているようだ。本作『SUSHI GIRL』では文字通り冷たい寿司を盛った女が登場するが、この言葉が意味するものとは一体!?

2)オープニングソング
『キル・ビル』オープニングで流れる曲は、フランク・シナトラの娘が歌う「Bang Bang (My Baby Shot Me Down)」。元々はシェールのセカンドアルバムに収録されていた曲であるが、その後多くのアーティストにカバーされた曲である。子どもの頃は2人で拳銃ごっこをしていたけど、いつの間にかサヨナラも言わずに彼は去って行ってしまった…という寂しい曲である。
『SUSHI GIRL』のオープニング曲は、ロキシー・ミュージックが歌う「In Every Dream Home A Heartache」である。私はあなたに尽くすけど、あたなは私の気持ちを吹き飛ばしてしまう…というこちらも寂しい心の空虚感を歌った曲だ。
ぜひ劇場で、この2曲の曲調を聞き比べてほしい。なんとも言えない寂しく儚い曲調は、『SUSHI GIRL』が『キル・ビル』に捧げたオープニングソングへのオマージュに間違いないと分るであろう。

3)千葉真一
両作品に出演している千葉真一。『キル・ビル』では沖縄で寿司屋を営みながらも、実は伝説の殺し屋で鍛冶職人の服部半蔵を演じている。服部半蔵とは千葉真一自身がテレビ時代劇で演じた『服部半蔵 影の軍団』の役なのである。そして、今回『SUSHI GIRL』でも千葉真一は寿司職人の役で出演している。出演時間は短いものの、SUSHI GIRLに寿司を盛りつけその目的を唯一知っている、とても重要な役なのである。

4)宝石強盗と仲間割れ
『レザボア・ドッグス』では宝石強盗をするも仲間に警察内通者がいるのではという疑惑から仲間割れが発生する。本作『SUSHI GIRL』でも事の発端となるのは宝石強盗であり、出所してきたかつての仲間を拷問するという仲間割れが発生する。しかし、これだけではない。その拷問方法や、仲間割れの最後の結末など、『レザボア・ドッグス』に捧げるオマージュが他にもふんだんに盛り込まれている。人によっては、タランティーノが製作総指揮を務め、壮絶な残酷描写が話題を集めたスプラッター・ホラー『ホステル』(05)ではないかという意見もある。是非『SUSHI GIRL』を劇場で観て確認してほしい!!

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執筆者

Yasuhiro Togawa