2011年本屋賞2位、第24回山本周五郎賞を受賞した窪美澄の「性」と「生」を繊細かつ赤裸々に描ききった同名小説を原作とし、日本映画監督協会新人賞を受賞した『百万円と苦虫女』の気鋭・タナダユキ監督が4年ぶりの長編作品として手がけた渾身の1作。先日開催されたトロント国際映画祭では600人の観客で会場は埋め尽くされ賞賛の声を多く頂きました。W主演には、揺れ動く思春期を繊細に表現した永山絢斗(『ハードロマンチッカー』)、心の闇を全身で体現した田畑智子(『血と骨』)。そして圧倒的な存在感を見せる原田美枝子、銀粉蝶という実力派が名を連ね、さらには注目の若手俳優、窪田正孝の現代社会の影を感じさせる演技が光ります。
過激な性描写が多く描かれ、映倫(映画倫理委員会)にてR18作品として指定されている本作、爽やかなイメージの永山絢斗と清純派女優と言われている田畑智子が体当たりで演じているというのが公開前から話題になっている。

しかし、マスコミ試写でのマスコミの感想は、話題になっている性描写だけではない。「現代社会の問題(教育、介護、不妊、結婚)が鋭く描かれている」「女性ならではの悩みに共感」「ただ生きていることがこんなに素晴らしい事だと気付かされた」等多数寄せられた。また、最も多い感想が「こういう作品こそこれから悩みや壁にぶつかるであろう若者達に観てもらいたい」というお声だった。本作のプロデューサーの佐藤現は『高校生の主人公はじめ様々な問題を抱えた人々が、それでも生きようともがく命の物語。今を生きる高校生にどう受け取ってもらえるか、とても興味深い』と話す。こういった様々な思いから今回特別に編集を加え、映倫の審査を経てR15バージョンを作成、11月10日(土)に高校生限定で特別試写会を実施する運びとなった。様々な苦悩を抱えながらそれでも生きていく、登場人物達の赤裸々な姿を観てこれからの未来を担う高校生達に必ず響くものがあると期待している。

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執筆者

Yasuhiro Togawa