高倉健6年ぶりの主演作「あなたへ」。この度、本作が、8月23日(現地時間)よりカナダ・モントリオールにて開催されている第36回モントリオール世界映画祭ワールドコンペティション部門に正式出品されました。現地時間9月2日の公式会見と公式上映を終え、映画祭最終日となる9月3日に映画祭の授賞式が行われました。

授賞式前に行われたレッドカーペットアライバルに参加した高倉健は、映画祭の最高責任者であるセルジュ・ロジーク氏と腕を組みながら各国からのゲストの先頭を切ってレッドカーペットを笑顔で歩きました。

授賞式では各賞の説明の通訳に耳を傾け、受賞者に惜しみない拍手を送るなど、18年ぶりの映画祭を楽しんだ様子。「ロジーク氏に御礼が言えてよかった」と出席の大きな目的であった“モントリオールに13年前の御礼がしたい”という願いは叶えられ充実した映画祭への参加となりました。

最優秀賞の受賞は逃したものの、人の心情を芸術的に描いたことを評価され、エキュメニカル審査員賞特別賞を受賞しました。エキュメニカル審査員賞特別賞は、“人間性の内面を豊かに描いた作品”に与えられる賞です。コンペティション部門以外の審査員により選出されます。賞を受けて市川南エグゼクティブプロデューサーは「多くを語らずとも相手のことを思いやるという日本的な感情を表現したこの作品が国際的に評価されたことは大変光栄です。」と挨拶しました。

前日に行われた上映会でも「人の心の内面の描き方が素晴らしい」「日本的な余白を残した表現が美しい映画だ」と海外プレスからも高い評価を得た本作は日本国内でも好調な興行を続けています。

【エキュメニカル審査員賞とは】
人間性の内面を豊かに描いた作品に贈られる賞。審査員はコンペティション部門以外の審査員で構成されている。今回はエキュメニカル審査員賞をドイツの「CLOSED SEASON」が受賞、「あなたへ」は、エキュメニカル審査員賞特別賞を受賞した。過去の日本映画エキュメニカル審査員賞受賞作品は、1983年の「未完の対局」(佐藤純彌/段吉順 監督)、1991年「戦争と青春」(今井正監督)、1995年「深い河」(熊井啓監督)、2006年「長い散歩」(奥田瑛二監督)。エキュメニカル審査員賞特別賞受賞作品は、1986年「それから」(森田芳光監督)。

【モントリオール世界映画祭とは】
1977年よりカナダ東部のケベック州で行われる映画祭。カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭に次ぐ、北米最大級の映画祭。日本映画では、過去に1997年に「東京夜曲」で市川準監督が最優秀監督賞、1998年に「愛を乞う人」が国際批評家連盟賞、1999年に「鉄道員(ぽっぽや)」で高倉健が主演男優賞、2006年には「長い散歩」がグランプリ、国際批評家連盟賞、エキュメニック賞を受賞。近年では、2008年には「おくりびと」がグランプリ、「誰も守ってくれない」が最優秀脚本賞、2009年には「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」で根岸吉太郎が最優秀監督賞、2010年には「悪人」で深津絵里が最優秀女優賞、「わが母の記」が審査員特別グランプリ、「アントキノイノチ」がイノベーションアワードを受賞するなど、日本映画が数多く受賞している。高倉健は日本人で唯一の主演男優賞を獲得している。

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執筆者

Yasuhiro Togawa