いままでにも数回バレエブームが起きていると言われてきたが、ナタリー・ポートマンがアカデミー賞主演女優賞を受賞した『ブラック・スワン』の影響や、エクササイズ代わりにバレエを始めるなどのバレエ人気が加速いるという。お隣韓国では、チェ・ジウをはじめとする韓流トップ級女優の間で、ピラティスやヨガにバレエを取り入れて柔軟性を高めるなどのクラシックバレエブームが起きており、さらに第3次韓流として、日本ではバレエ界のアイドルを指す「韓流バレエドル」が登場しているそうだ。2010年頃より年に数回行ってきた来日公演では、ファンが殺到し大盛況で、最近では日本のファンが「韓流バレエドル」を観に現地の公演を観に行くツアーが組まれるほどである。

また、最近バレエファンにいつもとは違った流れがあるという。最近のバレエ会場では、かつては9割以上が女性客であったのだが、最近では3割近くを男性客が占めるようになっているという。これまでは、決まりきった演目しか上映しなかったバレエ興行であったが、ここ数年はコンテンポラリーをはじめとしてクラシックでもいろいろな演目が上演されるようになったことや、バレエ音楽をコンサートの演目に取り入れることによって、クラシック音楽ファンもバレエを楽しむようになってきたこと。そして、何よりも鍛え抜かれたダンサーの超人的な肉体美と躍動感を味わうことのできる総合芸術という認識が男性に広まったことなどがその要因としてあげられる。

そして、もう一つの流れとしては、バレエ教室に40〜50代から年配の方などが多くなってきているという。かつては子供のお稽古としてバレエ教室を運営していたが、少子化を受けてターゲットを大人に変えたことなどによって、かつて子どものころ、バレエに憧れていた人や習っていた人などが改めて習い始めるなどの動きが出始め、さらにカルチャーやスポーツクラブにバレエ講座が数多くできた事によって気軽に始められるようになったそうだ。本格的にバレエをやるのではなく、ストレッチング中心のバレエは、年齢が高くても低くても音楽を聞きながら楽しく運動できるという点で大きな支持を得ているそうだ。

そんな昨今のバレエブームの中、バレエの入門編としての教科書の様な存在ともいえる映画『バレエに生きる〜パリ・オペラ座のふたり〜』が9月8日よりBunkamuraル・シネマほかにて公開となる。“バレエ愛の伝道師”ともいえるパリ・オペラ座と縁の深い夫婦。1951年から振付師として活躍し、ロマンティック・バレエの復活に多大な貢献を果たしたピエール・ラコットと、かつてのエトワールでもあり、引退後も後進の育成を続けるギレーヌ・テスマーの二人。フランス、アメリカ、ロシア、モナコ…ともに世界を巡った二人の軌跡を描いた本作は、これまで語られることがなかったバレエ史の一片とバレエファンの憧れの聖地パリ・オペラ座の歩みが描かれ、バレエを昔から本格的にやってきた人にとっては、懐かしく貴重な映像を楽しめる作品として、そして興味はあるもののあまりバレエに詳しくない人にとっては、バレエの歴史を学べると同時に超豪華ダンサーたちの映像と名だたる名シーンの数々によって、バレエがより好きになる入門編としての映画として、今バレエファンの中で注目されている。

劇場での前売り券の売れ行きも順調だという。この映画が公開されることによって、さらにバレエブームが加速されることが予想される。

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執筆者

Yasuhiro Togawa