岩波ホールでは、1974年のエキプ・ド・シネマ発足以来、数多くの内外の名作映画を公開してきました。一回公開作品「大樹のうた」をふくむ「大地のうた三部作」から、長時間の大作を数多く公開してきた岩波ホールが、この夏は、6時間39分の長編イタリア映画『ジョルダーニ家の人々』を一挙に上映します。観客が1日中ひとつの映画館のスクリーンに向かうという贅沢な時間を提供いたします。

1968年2月9日 「映画講座」、「音楽サークル」、「古典芸能シリーズ」、「学術講座」の四つの柱を中心とした催しを行うホールとして、岩波ホールがホール開き。
1974年2月12日 エキプ・ド・シネマ〈フランス語で映画の仲間の意〉スタート。世界映画史をかざるインドのサタジット・レイ監督「大地のうた」3部作の第3部にあたる「大樹のうた」の上映。故川喜多かしこ氏と高野悦子のふたりでエキプ・ド・シネマを発足。

〜エキプ・ド・シネマ がかかげる四つの目標〜
1:日本では上映されることの少ない、アジア・アフリカ・中南米など欧米以外の国々の名作の紹介。(その後、女性監督による作品も積極的にとりあげるようになる)
2:欧米の映画であっても、大手興行会社が取り上げない名作の上映。
3:映画史上の名作であっても、何らかの理由で日本で上映されなかったもの。またカットされ不完全なかたちで上映されたもの。
4:日本映画の名作を世に出す手伝い。

〜映画のために岩波ホールが守り続けていること〜
◆上映システムとして、いくつかの原則をもって運営している。
・日本で初めて各回完全入れ替え制、定員制を実施。
・予告編上映の際に企業コマーシャルを流さない。
・予告された上映期間の途中打ち切りを行わない。
・誰でも入会できる会員制度エキプ・ド・シネマの会をつくり、会員にはがきでお知らせを行い、会員割引を設ける。(有料。随時入会受付中)

〜岩波ホールがいままでに上映してきた長時間の映画〜
・大地のうた三部作 <トータル5時間40分>
・ 木靴の樹 <3時間7分>
・ 旅芸人の記録 <3時間52分>
・ ルードウィヒ−−神々の黄昏 <3時間4分>
・ 山猫 <3時間6分>
・ アレクサンダー大王 <3時間28分>
・ 早池峰の賦 <3時間5分>
・ モリエール <3時間55分>
・ ファニーとアレクサンデル <5時間11分>
・ 歌舞伎役者片岡仁左衛門 <5巻で8時間8分>
・ ホセ・リサール <3時間>
・ 輝ける青春 <6時間6分>

入場者が少なければ、すぐに打ち切りになってしまうシネコンが席巻している現在、一つの映画館で長い期間一本の映画の上映期間を守ることは、大変に貴重なこととなっております。

◆岩波ホール オフィシャルHP   
http://www.iwanami-hall.com/contents/top.html

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執筆者

Yasuhiro Togawa