杉井ギサブロー71歳。日本のアニメーションに黎明期から関わり、作り続け、支え続ける男。
杉井はすこぶるいい男である。より面白いものを作るために、なすべきことを為すために、作り出した作品もこれまでの人生も壊すことすら厭わない男。己に拘泥しつつ、己に囚われることを知らない。枠組みなんか知ったこっちゃない、国境なんか知ったこっちゃない。杉井は言う「俺に任せろってんだ」。

「鉄腕アトム」「どろろ」「日本まんが昔ばなし」「タッチ」・・・だれもが一度は目にしたことがあるだろう名作の数々。これらは杉井の手から生まれた。エロティシズムを線で表現しつくした『千夜一夜物語』。情感を表現する手法を手に入れた「タッチ」。沈黙のあと発表された代表作『銀河鉄道の夜』は、日本のアニメーションが到達したひとつの頂点。真理を見つめるジョバンニの目が強烈だ。

本作はまた、日本のアニメーションの歴史を映像で見せる。「クールジャパン」の呼称とともに、世界のトップランナーを走る日本の一大産物となった。かつてディズニーアニメを追って、日本にアニメーションを根付かせるために戦った、アニメーション業界の人々の功績。その中心にい続ける杉井を追ったドキュメンタリーである。

予告編::http://youtu.be/Pmsja-7P6tU

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執筆者

Yasuhiro Togawa