『蛇イチゴ』(03年)、『ゆれる』(06年)、『ディア・ドクター』(09年)で国内外の映画賞を総なめにし、いま最も注目される気鋭の映画監督・西川美和。最新作『夢売るふたり』(出演:松たか子・阿部サダヲ)の公開を9月8日(土)に控えた西川美和監督が挑む、初めてのスポーツ・ドキュメンタリーが、6月10日(日)、NHK-BS1にて放送されます。
原案・脚本も自ら手掛けた『夢売るふたり』で、結婚詐欺を仕掛ける夫婦と、騙される女たちの誰もみたことのない愛の物語を描き出した西川監督。詐欺に遭う女性のひとりの役柄を女子ウェイトリフティングの選手に設定し、2年前にウェイトリフティング選手の取材で金沢学院大学に訪れた西川監督は、一途に競技に取り組む選手たちと絶妙な駆け引きの織りなす力比べの虜となり、今回、企画・構成そして聞き手として、初めてのスポーツ・ドキュメンタリーに挑むことになりました。ナレーションは、NHKの連続テレビ小説「カーネーション」で主演を務めた尾野真千子が担当します。 
ロンドン五輪を前に、日本映画界の女性監督として新たな領域に挑み続ける西川美和が見た、女子ウェイトリフティングの世界とは?女性らしさを時には捨ててまで、女性選手たちが惹きつけられるウェイトリフティングの魅力とは?

「重力に逆らってまで 〜映画監督・西川美和が見た女子ウェイトリフティング〜」
NHK-BS1にて6月10日(日)21:00〜21:49放送
企画・構成・聞き手:西川美和/ナレーション:尾野真千子

重いバーベルが上がるか、上がらないか、成功か失敗か、二つに一つの真剣勝負。そんなスポーツに一筋に挑み、青春を捧げる女性たちがいる。日々の練習で持ち上げる重量は一日、何十トンにも及ぶ。トレーニングに励むことで下半身はどっしりとし、腕や脚も太くなる。年頃の女性には酷とも思えるこのスポーツ。女性らしいということを時に捨ててまで、彼女たちを惹き付ける、ウエイトリフティングの魅力は何なのか。7つの階級がありながら、1階級一人ずつロンドン五輪出場を果たせるわけではない。番組では、重量挙げの強豪・金沢学院大学で職員として働きながら、初のオリンピック選手を目指す選手たちに密着。最重量級の75キロ超級のライバル、城内史子選手と嶋本麻美選手。そして63キロ級の橋田麻由選手。代表選考を兼ねた4月の全日本選手権まで、わずかな出場枠をかけて、長年苦楽をともにして来た女同士、仲間同士の熾烈な闘いが始まった。

【西川美和 コメント】
 新作『夢売るふたり』には、女子ウェイトリフティング最重量級の選手という役が登場します。どこからそんな役を思いついたのか?と聞かれますが、私は身体の大きな女性アスリートががむしゃらに健闘する様子が、好きなのです。柔道は花形だけれど、もっとひっそりと黙々と生きている勝負師、「どうしてそれを選んだんです?」とふしぎがられるような世界で汗をかく女の人を探して、出会ったのがウェイトリフティングという競技でした。
このドキュメンタリーでは、ロンドン五輪出場の残り数枠を賭けて、寝食も共にするライバルたちと切磋琢磨し、怪我と闘いながらトレーニングを積む女子ウェイトリフティング選手を追いかけています。取材で出会った女子ウェイトリフティングの選手は皆、まっしぐらで、人柄がよくて、優しくて、とてもチャーミングな人ばかりでした。
ナレーションはキャラクターがしっかりとある女性の声がいいと思い、親近感があって落ち着いた声の魅力があると思っていた尾野真千子さんにお願いしました。

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執筆者

Yasuhiro Togawa