この度、カンヌ国際映画祭クラシック部門(以下、カンヌクラシック)で木下惠介生誕100 年を記念し『楢山節考』(1958 年製作、英題:The Ballad of Narayama)が上映されました(現地時間5/18日(金)17:30より)。
上映に先立ち、松竹(株)代表として映像ライツ部長/森口和則からの挨拶に続き、ゲストとしてベルリン映画祭のフォーラム部門を創設したことで知られる映画史家ウルリッヒ・グレゴール氏が登壇。プレゼンテーションが行われました。
会場となったBunuel Theater には300名を超す観客が集まり、4K解像度(4096×3112)によるスキャンを取り入れた最高技術によるデジタル修復(上映は2K)で、画・音ともに蘇ったデジタル・リマスター版『楢山節考』を上映、作品の上映終了とともに会場には拍手が巻き起こりました。

また、上映に先立ち、急きょ、カンヌ映画祭主催によるカクテルパーティが開催されました。パーティには、カンヌ映画祭から、クラシック部門ディレクターのヴァン・パパドプーロス(Van Papadopoulos)氏のほか、ゲスト・スピーカーのウルリッヒ・グレゴール氏や、日本からの報道陣、木下作品の買い付けを検討しているイギリスの配給会社らも集まり、木下監督作品への関心の高さがうかがえました。
カンヌクラシックでの上映を受け、世界各国の配給会社から木下監督作品への問い合わせが集まっており、世界的に関心が高まっています。
この度カンヌ国際映画祭でワールド・プレミア上映となったデジタルリマスター版『楢山節考』は、今後日本では10 月26 日にBlu-ray としてリリースされるほか、第13 回東京フィルメックス(11/23〜12/2)にて、凱旋上映(ジャパン・プレミア)を予定しています。また、木下監督作品は今後世界各国での上映が予定されています。

■ウルリッヒ・グレゴール氏プレゼンテーションでの主な内容
私は1958 年のヴェネツィア映画祭(『楢山節考』がコンペティション部門に出品された)でのプレミア上映に立ち会い、当時、我々は日本映画に関して豊富な知識は持っていなかったが、この作品を見てたちまち魅了された。以降、木下映画を繰り返し見ているが、木下惠介(1912−1998)は疑うことなく小津、黒沢、溝口に並ぶ、偉大な日本の監督だ。日本を除き今日では木下作品になじみがないかもしれないが、まさに再発見に値する。
木下監督のもっとも特質すべき点は、その多芸ぶり多才ぶり。彼の作品はコメディから風刺作品まで幅広く、現代的、日常生活を描きながらも、社会的背景に裏打ちされている。また同時に、彼のフィルムはスタイリッシュであり、様式と哲学性、荘厳さが調和しており、常に映画としての構造がしっかりしている。『楢山節考』は木下作品の中では少し違ったタイプだが、非常に重要な作品であることは間違いない。
松竹の木下恵介生誕100 年プロジェクトとしてこれから世界中で今年、来年と上映されることが非常に楽しみだ。

今後のデジタル・リマスター&海外展開
松竹(株)では、『楢山節考』に続き、『カルメン故郷に帰る』のデジタル・リマスター作業(4Kスキャニングによる)を進めています。
本日上映した『楢山節考』デジタル・リマスター版の日本での展開予定は、以下の通り
■10 月26 日(金)『楢山節考』Blu-ray リリース発売・販売元:松竹(株)映像商品部4,935 円(込)
■11 月23 日〜12 月2 日第13 回東京フィルメックスにて、凱旋上映(ジャパン・プレミア)
■11 月〜12 月予定東劇(東銀座)ほか、松竹系映画館での特集上映

【今後の海外展開予定】
木下惠介生誕100 年記念上映を五大陸の各国映画祭等、世界10 都市にて上映・予定
(1月アルゼンチン/ブエノスアイレス・・開催済)
(2 月ウルグアイ/モンテビデオ・・・開催済)
5 月18 日フランス/カンヌ国際映画祭クラシック部門『楢山節考』ワールドプレミア上映
6 月〜7 月ブラジル/サンパウロ、クリチバ
8 月中国/香港映画祭(予定)
11 月アメリカ/ニューヨークリンカーン・センター特集上映
2013 年オーストラリア/メルボルン

執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa