1962年、小林悟監督『肉体の市場』(大蔵映画配給)が警視庁に猥褻容疑で摘発される。以後、独立系会社による低予算の成人向け映画が<ピンク映画>と称され、斜陽にあった日本映画界を立て直す大きな産業として急成長する。そして、反社会、反体制といったメッセージ性を掲げた若松孝二のアヴァンギャルドな作品群を筆頭に、若者からの熱狂的な支持を集め、メジャーの日本映画とは違ったパワーと魅力で映画的な評価も高まる。

渡辺護、中村幻児、高橋伴明、井筒和幸、滝田洋二郎、廣木隆一、周防正行、黒沢清、瀬々敬久、いまおかしんじなどが監督デビューし、若手作家が巣立つ場所としても、大きな役割を担う。また、白川和子、宮下順子、大杉漣など、ピンク映画を起点として成長を遂げた俳優も少なくない。

製作本数、専門館も減少し、現在のピンク映画が末期的な状況であることは否めないが、日本映画に唯一残されたプログラム・ピクチャーとして、作家性、娯楽性に富んだ良質な作品が生み出されていることは不変である。
ピンク映画半世紀の歴史は、紛れもなく日本映画を活性化させた大きな存在であり、ポルノというブランドに隠された「もう一つの日本映画史」である。

他で観ることのできない貴重な旧作を含め、その歴史を辿る特集上映を長期に渡り開催します。

◆上映作品は次ページをご参照ください。

5月18日(金)〜7月9日(月) レイトショーにて特集上映!

連日20:00より2本立レイトショー(2本連続上映)
料金:一般・学生1300円 シニア1000円 毎週水曜レディースデー1000円
※特別上映は1500円均一(各種割引は適用外。名画座回数券・作品共通券は使用不可)
★期間中レディースシートを設置します(席数に限りがございます)。
★すべてR18作品。18歳未満の方はご入場できません。

執筆者

Yasuhiro Togawa