「日本におけるイタリア年」をきっかけに2001年春に始まった「イタリア映画祭」は、今年で12回目を迎えます。多くの映画ファンやイタリアファンの皆様に支持され、毎年1万人を超える観客が訪れるゴールデンウィーク恒例の大きな映画祭に成長しました。
今回は2010年以降に製作された新作14本を上映、『大陸』主演のフィリッポ・プチッロなど俳優2名、昨年に引き続き作品が上映される『気楽な人生』のルーチョ・ペッレグリーニなど監督8名のほか、セールス会社、同行取材陣など、今年は20名近いゲストが来日します。監督は、4/30(月・休)の座談会に出席するほか、また、4/28(土)〜4/30(月・休)まで
それぞれの作品の上映後に質疑応答、座談会終了後にはサイン会も予定しています。

■イベント■
座談会 4/30(月・休)開演15:15〜 
※座談会は入場無料です
■会場■ 有楽町朝日ホール (東京都千代田区有楽町2−5−1マリオン11階)

★来日ゲスト(予定)★
『シャッラ/いいから!』監督:フランチェスコ・ブルーニ Francesco Bruni
輝かしい実績を誇る脚本家がプロデューサーからの後押しで初監督した『シャッラ/いいから!』は、ヴェネチア国際映画祭で受賞という上出来な滑り出しを果たした。監督と息子との関係が創作の基となった本作は、ローマに生きる子供たちを活き活きと映し出す。

『天空のからだ』出演:アニタ・カプリオーリAnita Caprioli
『サンタ・マラドーナ』や『考えてもムダさ』に出演しているが、『人生、ここにあり!』(「イタリア映画祭2009」では『やればできるさ』)で、主人公のネッロを励ます恋人役が記憶に新しい。『天空のからだ』では、主人公の少女の母親役を好演している。

『バッグにはクリプトナイト』監督:イヴァン・コトロネオIvan Cotroneo
自著の同名小説を映画化する話が進むうちに、自身で監督することになったという。『バッグにはクリプトナイト』が展開する70年代が持つ独特の雰囲気を、サイケなファッションや、イギー・ポップ、デビッド・ボウイ、ミーナ、ダリダといった音楽が見事に彩る。

『七つの慈しみ』監督:ジャンルカ&マッシミリアーノ・デ・セリオGianluca and Massimiliano De Serio
アイデンティティーの問題をめぐる短編やドキュメンタリーを手がけてきた双子兄弟で、「イタリア映画祭2005」で短編『ザカリア』が上映されている。『七つの慈しみ』は、カラヴァッジョの絵画「慈悲の七つの行い」がアイデアの一つとなっている。

『錆び』監督:ダニエーレ・ガッリャノーネDaniele Gaglianone
短編を監督しつつ、アメリオの『いつか来た道』の脚本・助監督を経た後に、長編第2作がロッテルダム国際映画祭の最高賞に輝く。監督の幼い頃を思い出させたという同名小説が原作の『錆び』は、過去と現在を巧みに往き来しつつ、悪や暴力を浮き彫りにする。

『気楽な人生』監督:ルーチョ・ペッレグリーニLucio Pellegrini
『気楽な人生』のシナリオを読んだ時に、『M★A★S★H』にも通ずるような新しいイタリア喜劇を模索できうると考えたそうだ。ファヴィーノとアッコルシというスターを起用した本作では、雄大なアフリカを舞台にセンチメンタリズムに陥らない演出を見せる。

『大陸』主演:フィリッポ・ブチッロFilippo Pucillo
「イタリア映画祭2003」で上映された『グラツィアの島』で、クリアレーゼ監督から依頼されて、役者としてデビューし、続く『新世界』にも出演。そして『大陸』では、衰退しつつある漁業と発展しつつある観光業の間で揺れ動く青年役で主演を果たす。

『楽園の中へ』監督:パオラ・ランディPaola Randi
短編を作ってきた監督が長編第1作に選んだ題材は移民だが、イタリア人が移民の居住区に迷い込み、自国でいわば「移民」になるという設定がユニーク。監督がナポリやスリランカで実際に会った人々や見た非日常的な場面から、映画作りの発想を得たそうだ。

『シュン・リーと詩人(仮題)』監督:アンドレア・セグレAndrea Segre
キオッジャの居酒屋の店員だった中国人女性との出会いが、『シュン・リーと詩人(仮題)』のきっかけだったと監督は話す。長年、ヴェネト地方についてのドキュメンタリーを作ってきた監督と、キャメラマンのビガッツィが捉える潟(ラグーン)の美しさは白眉。

■上映作品■
A.『楽園の中へ』2010年ヴェネチア国際映画祭コントロカンポ・イタリアーノ部門出品
パオラ・ランディ監督/2010/104分/Into paradiso (Paola Randi)
B.『気楽な人生』2010年モントリオール世界映画祭招待作品
ルーチョ・ペッレグリーニ監督/2010/102分/La vita facile (Lucio Pellegrini)
C.『ジャンニと彼をめぐる女たち』2011年ベルリン国際映画祭特別招待作品
ジャンニ・ディ・グレゴリオ監督/2011/90分/Gianni e le donne (Gianni Di Gregorio)
D.『至宝』2011年カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭コンペ部門出品
アンドレア・モライヨーリ監督/2011/110分/Il gioiellino (Andrea Molaioli)
E.『天空のからだ』2011年カンヌ国際映画祭監督週間出品ほか
アリーチェ・ロルヴァケル監督/2011/100分/Corpo celeste (Alice Rohrwacher)
F.『七つの慈しみ』2011年ロカルノ国際映画祭コンペ部門出品ほか
ジャンルカ&マッシミリアーノ・デ・セリオ監督/2011/103分Sette opere di misericordia (Gianluca e Massimiliano De Serio)
G.『錆び』2011年ヴェネチア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門出品
ダニエーレ・ガッリャノーネ監督/2011/109分Ruggine (Daniele Gaglianone)
H.『大陸』2011年ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞、第84回米アカデミー賞外国語映画賞イタリア代表
エマヌエーレ・クリアレーゼ監督/2011/88分Terraferma (Emanuele Crialese)
I.『シャッラ/いいから!』2011年ヴェネチア国際映画祭コントロカンポ・イタリアーノ部門コントロカンポ賞
フランチェスコ・ブルーニ監督/2011/95分/Scialla! (Francesco Bruni)
J.『バッグにはクリプトナイト』2011年ローマ国際映画祭コンペ部門出品
イヴァン・コトロネオ監督/2011/98分/La kryptonite nella borsa (Ivan Cotroneo)
K.『何もかも音楽のせい』2011年ヴェネチア国際映画祭コントロカンポ・イタリアーノ部門出品
リッキー・トニャッツィ監督/2011/97分/Tutta colpa della musica (Ricky Tognazzi)
■特別上映作品■(1回上映)
X.『そこにとどまるもの(仮題)』2010年ローマ国際映画祭特別上映
ジャンルカ・マリア・タヴァレッリ監督/2010/399分/Le cose che restano (Gianluca Maria Tavarelli)
Y.『ローマ法王の休日』2011年カンヌ国際映画祭コンペ部門出品
ナンニ・モレッティ監督/2011/104分/Habemus Papam (Nanni Moretti) 
Z.『シュン・リーと詩人(仮題)』2011年ヴェネチア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門出品
アンドレア・セグレ監督/2011年/96分/Io sono Li (Andrea Segre)

※上映作品はイタリア側の都合により、変更の可能性があります。
※上映作品はこの映画祭のために輸入するプリントのため、英語字幕などが入っている可能性があります。
※来日ゲストやスケジュールはやむを得ない事情により変更の可能性があります。ご了承ください。なお、大阪会場へのゲストの来場はございません。

会期・会場:4月28日(土)〜 5月4日(金・祝)  有楽町朝日ホール(東京都千代田区有楽町2−5−1マリオン11階)
主催:イタリア映画祭実行委員会、イタリア文化会館、朝日新聞社、イスティトゥート・ルーチェ・チネチッタ
後援:イタリア大使館
協賛:デロンギ・ジャパン株式会社、フィアット グループ オートモービルズ ジャパン株式会社、フェラガモ・ジャパン株式会社、株式会社紀尾井コーポレーション 
協力:バリラ ジャパン株式会社、株式会社IMAGICA TV
公式サイト:http://www.asahi.com/italia/ 
一般の方のお問合せ:050-5542-8600(ハローダイヤル:〜4月27日)/03-3284-5215(会場、会期中のみ)

執筆者

Yasuhiro Togawa