アリア『ある晴れた日に』で世界的に知られるプッチーニの傑作オペラ『蝶々夫人』。『プッチーニに挑む〜岡村喬生のオペラ人生』は、『蝶々夫人』台本中の日本誤認をただそうと、オペラへの深い愛と日本文化の誇りを背景に、オペラ宗主国イタリアに挑む国際的オペラ歌手岡村喬生の姿を描いた、感動のオペラドキュメンタリーである。

『プッチーニに挑む〜岡村喬生のオペラ人生』は岡村喬生と飯塚俊男監督の見事なコラボレーションにより生まれた作品である。日本ドキュメンタリー映画史に大きな足跡を残した小川紳介監督の許で、学生時代からドキュメンタリーの現場経験を積んだ飯塚は、対象者にひたすら沿う手法で映画を作る。信頼関係構築が何よりも重要だと、揺るがない信念があるのだろう。岡村は全幅の信頼をよせた。生憎、イタリアではシモネッタなどに撮影を拒否された場面もあったが、どんな局面でも開かれた表情の岡村の自然体は、見る者の共感を呼ぶ。なお、本作完成には5年の歳月をかけている。

2012年5月19日 東劇にてロードショー!

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執筆者

Yasuhiro Togawa