現在公開中(DVD、Blu-ray7/3発売)の園子温監督作『ヒミズ』が4/12〜4/15(日本時間)、イギリス・ロンドンで開催されておりました、 テラコッタ・ファー・イースト映画祭におきまして、スタジオジブリの『コクリコ坂から』『マイウェイ12000キロの真実』などを抑え、見事、観客賞を受賞いたしました。本映画祭で日本映画の受賞は、今回が初となります。
4/15の『ヒミズ』上映日には、会場となった映画館の前に来場者による長蛇の列ができ、映画祭一番の盛り上がりとなりました。 また、上映後にはイベントも開催され、スペシャルゲストとして、ヤクザの金子役で出演した個性派俳優でんでんさんが登場し、観客とのティーチインを実施しました。 『冷たい熱帯魚』の演技でヨーロッパの映画ファンからも人気のでんでんさんの登場に、ロンドン市民からは質問が殺到し、大変な盛り上がりを見せました。6月のイギリス公開を前に、早くも大きな話題を呼びました。

■テラコッタ・ファー・イースト映画祭とは?
イギリス・ロンドンで開催される、アジア映画の祭典。コンペティション部門を持たない映画祭であり、今回、『ヒミズ』が受賞した観客賞が実質の最高賞となる。開催は今年で4回目となります。

2012年上映作品一覧 ※観客賞対象作品

『マイ・ウェイ 12000キロの真実』 カン・ジェギュ監督 (韓)/『コクリコ坂から』 宮崎吾朗監督/
『ヒミズ』 園子温監督/『キツツキと雨』 沖田修一監督/『モンスターズクラブ』 豊田利晃監督/
『Arirang』 キム・キドク監督 (韓)・・・この他 韓国映画2本、中国映画2本、台湾映画3本⇒計:13本

■4月15日の上映では、でんでんさんがゲストとして登壇!

『ヒミズ』上映後の満席の会場。「Good evening everyone, I am Denden!」と大きなジェスチャーをまじえた自己紹介で、でんでんさんが登場し、大歓声を浴びる。観客との質疑応答では、「質問の前にみなさんが『ヒミズ』を観てどう思ったか知りたいです。面白かったですか?」と観客に逆質問。満員の会場からは大きな拍手が沸き起こった。

震災や原発といったトピックスがストーリーに組み込まれている『ヒミズ』。
「映画の中に震災後の日本の様子、瓦礫や荒れ果てた街の様子が写っていましたが、現在、日本人はこの悲しい出来事をどのように受け止めているのか?」というフランス人女性からの質問にでんでんさんは、「主人公の二人が最後に『がんばれ!がんばれ!』って言い合うシーンがりますが、その気持ちを、今の日本人はみんな持っていると思います。 日本は過去にも戦争に負け、たかだか十数年で東京オリンピックができるくらい復興した国です。それを考えると、何でもできるって思います。本当に被害にあった人にはかける言葉がない部分もあるんですけど、心のなかではみんな『がんばれ!』って思っているはず」と熱い想いで回答。

映画に関しては「こんなに芯のある青春映画は久々。イギリスでもたくさんの人に見てもらいたいです。どうかできるだけたくさんの人にこの映画の素晴らしさを伝えてください!」とロンドンの聴衆にしっかりとアピールした。また、イギリスでも人気の高い「冷たい熱帯魚」の殺人鬼・村田の演技についての質問も殺到。 「何度も何度も台詞をしゃべるうちにだんだん村田に近づいていって、撮影が終わった後も抜けなくなってしまったんです。何でも(村田のように)自分の思い通りになってしまうと錯覚してたから、今思うと痴漢とか犯罪をしなくてよかった、って(笑)」とユーモアたっぷりに答え、ロンドン市民の笑いを誘った。

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執筆者

Yasuhiro Togawa