残酷なまでに失われた愛を追憶する
エロス・ノワールの傑作誕生———

その夜、男はピストルを片手に一人車を走らせていた。運命線の無い女、メイ。ワケ有りの女とは知らずにメイを愛したその日から、なにかが狂い始めた…。出所したてのメイの昔の男による終わることのない恐喝、メイの首に繋がれた鎖、そしてたった一人の親友への裏切り。もはや逃げる以外に道はないかのように見えた。疼く身体を重ねる度に身も心も破滅に追いやられる二人、そして掌にあるはずの無い運命線が静かに浮かび上がる時、二人の未来に惨たらしい殺人計画が見え始める。メイの選んだ衝撃の決断とは…。絶望の果てに見出すのは、愛か、死か———。

映像化不可能とまで言われ、15年以上長らく沈黙を貫かれていた人気小説が遂に映画化された。原作は多くの作家からリスペクトを受ける佐藤正午。すばる文学賞を受賞し映画化もされた「永遠の1/2」、「リボルバー」、「ジャンプ」など多数の傑作を生み出し続ける日本を代表する作家だ。監督に鬼才・井土紀州。犯罪と性をモチーフにした瀬々敬久監督作『雷魚』や『汚れた女』等の脚本を手掛ける一方、ロッテルダム国際映画祭正式出品作品『ラザロ-LAZARUS-』、モントリオール世界映画祭正式招待作品『行旅死亡人』等を監督。本作は地方都市を舞台に、性と暴力、男と女、恋人たちの傷跡と切ない絆を描いた、ラブゲームというにはあまりに激しく切実な衝撃のラブストーリーだ。こんなはずじゃなかった、誰もが味わうであろうそんな一瞬の連続が生む悲劇的なカタルシス、そして残酷なまでの愛と美しさに打ちひしがれるマスターピースが誕生した。

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執筆者

Yasuhiro Togawa