現代の名匠ケン・ローチ監督が男たちの感動的な友情を描きだした最新作
 『麦の穂をゆらす風』でカンヌ映画祭パルムドール(大賞)に輝き、その後も『この自由な世界で』、『エリックを探して』と、着実に新作を撮り続け、世界の映画界から絶賛されてきたイギリスの名匠、ケン・ローチ監督。最新作『ルート・アイリッシュ』は幼なじみとして育ちながらも、イラク戦争で謎の死を遂げた友人の死の真相を探る男の物語で、いつもながら誠実で骨太のドラマ作りが熱い感動を呼ぶ。

主人公ファーガスと友人フランキーは兄弟同然に育ち、成長後は兵士としてイラク戦争に参加する。ファーガスはひと足先に故郷リヴァプールに戻るが、イラクに残ったフランキーは、戦場で帰らぬ人となる。彼が亡くなった場所はルート・アイリッシュ。それはイラクのバグダッド空港と市内の米軍管轄区域グリーンゾーンを結ぶ12キロに及ぶ道路のことで、03年の米軍によるイラク侵攻後、テロ攻撃の第一目的とされる“世界一、危険な道路”として知られていた。フランキーの死後、ある携帯電話に残されたイラクでの映像を手がかりにファーガスは彼の死を探り始め、やがて、戦争を背景にした軍事ビジネスの恐るべき真実が浮かび上がる……。

「イラクで起こったことは、私と脚本家と製作者が長い間、描きたいと思っていたことだった。あの戦争はイラクの人々に対する大きな犯罪で、たくさんの不正もあった。私たちは戦争中にあった様々な出来事をほのめかすような物語とキャラクターを見つけることだった」と語るローチ。彼の映画には珍しくスリラーやアクション映画の要素も盛り込み、新境地ともいえるスリリングな謎解きのドラマが展開する。

3月31日(土)より、銀座テアトルシネマほか 全国ロードショー

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執筆者

Yasuhiro Togawa