1971年、中央大学の3年生だった矢内廣(やない・ひろし/現・ぴあ代表取締役社長)とその仲間たちは、自分たちが欲しい情報が載った雑誌を、自分たち自身で作ろうと考えた。そして1972年7月、安アパートから手探りで創刊された『ぴあ』は、やがて日本中の誰もが知る50万部雑誌へと成長していく。

 映画書出版社・キネマ旬報社の社員として、ひとつの雑誌の誕生から終焉までを目撃してきた掛尾良夫(現・キネマ旬報映画総合研究所・エグゼクティブ・ディレクター)が、綿密な関係者取材によって綴る渾身の「ぴあ年代記」にして、“日本初の情報誌” を作った大学生たちによる輝ける青春の軌跡!

■目次より(抜粋)

第1章 『ぴあ』の胎動
●甘納豆ビジネス●パイオニア創業者からの手紙●上京、新宿へ●学生運動に翻弄されて●中大映画研究会●映画の森へ●運命の出会い●自分たちに必要なもの●時代が『ぴあ』を求める

第2章 『ぴあ』の誕生
●アパートで編集会議●父親の30万円●奇跡の“出会い系人脈”●読者と“対等”であること●立ち込める暗雲——流通の壁●2人の救世主●押入れの8000部●汗だくの飛び込み営業●8万人の潜在読者●「マルピ」作戦●高須基仁の協力●及川正通を口説き落とす●『ぴあ』に集う人々●最後の自前配本

第3章 『ぴあ』の躍進
●取次との攻防●映画業界に即応する『ぴあ』●映画ファンと名画座に支えられて●イベントに結実する読者とのつながり●オールナイト、34時間ぶっ通し●「ぴあ展」で成長した『ぴあ』●マガジンハウスカルチャーの対極にあるもの●ぴあの社員教育●『ぴあMAP』と『ぴあ手帳』●押し寄せる「ニューメディア」の波●「ぴあ世代」の映画監督たち●隔週化する『ぴあ』●「ぴあフィルムフェスティバル」誕生

第4章 『ぴあ』の挑戦
●目白押しのイベント●“残り半分”●『CALENDAR』の試行錯誤●トリュフォーを呼びたい●フライト代はトリュフォーが負担●ヌーヴェルバーグの旗手、来日す●「チケットぴあ」プロジェクト、始動●電電公社のトップに接見●チケット検印問題●プレスタートは「キャッツ」●“そっちの勢力”に対する対策

第5章 『ぴあ』の成熟
●絶妙の3人体制●「よし、やろう」——PFFスカラシップ●ラテン系に振り回される●85年、レンタルビデオ元年●ビデオ市場の誕生がもたらしたもの●ビデオブームを背景としたPFF●ネット以前の映画バイブル「ぴあシネマクラブ」●黒川文雄の退社●ホウ・シャオシェン秘録

第6章 『ぴあ』の時代
●駆け抜けた、最後の昭和●変わりゆく組織とぴあ●変わりゆく人とぴあ●ふたりの恩人

価格:1,365円(税込)
ISBN: 978-4-87376-385-9
四六判/全264頁
著者:掛尾良夫
発行:キネマ旬報社
★12月中旬発売予定

執筆者

Yasuhiro Togawa