2010年の第63回カンヌ国際映画祭にて、ケン・ローチ、マイク・リー、北野武、アッバス・キアロスタミなどの巨匠監督たちを押さえて、見事、最優秀監督賞の栄冠に輝いた、マチュー・アマルリック監督作「さすらいの女神(ディーバ)たち」が、シネスイッチ銀座での7週間の興行を終え、オーディトリウム渋谷にて引き続き上映が決定しました。

本作は、華やかなショーの舞台裏で続く、人生のほろ苦さやささやかな幸福が胸に沁みるロードムーヴィーの傑作。ユーモアや風刺を効かせたセクシーでゴージャスな舞台を繰り広げるショーダンサーたちのグループ〈ニュー・バーレスク〉と、彼女たちの優しく大らかな包容力に救われる男を、愛情深く描いている。劇中に登場する〈ニュー・バーレスク〉ダンサーたちは全員現役のダンサーたちであることも話題に。
 銀座での興行では女性客を中心に、実際にダンサーとして活躍している方や、フランス映画、マチュー・アマルリックのファン、年配の夫婦連れなどが多く見受けられた。新たに渋谷での公開がはじまることで、もっと若い客層にも見やすい環境が整うこととなる。
また、マチュー・アマルリックファンには嬉しい、彼の出演作・監督作の特集上映の開催も決定!
出演作として評価が高い、「潜水服は蝶の夢を見る」「クリスマス・ストーリー」は何度見ても味わい深い作品。そして、日本未公開にして、マチュー監督の長編第2作となる「ウィンブルドン・スタジアム」の上映も決定した。まだ撮影当時、パートナー同士であった、ジャンヌ・バリバールを被写体として2001年製作の映画だ。英語字幕版での上映となるが、マチュー・アマルリックの監督としての才能が光る意欲作を、ぜひこの貴重な機会にご覧いただきたい。

さすらいの女神〈ディーバ〉たち 
上映スケジュール:
11.21月-11.25金:12:50
11.26土:15:00
11.27日:12:40
11.28月-12.2金:14:10
12.3土-12.9金:16:50

〈マチュー・アマルリック作品集〉
⇒詳しくは、オーディトリウム渋谷公式サイトへ http://a-shibuya.jp/archives/1946

【さすらいの女神〈ディーバ〉たち上映記念】
マチュー・アマルリック作品集フランスのみならず現代映画に欠かせない世界屈指の名優であり、『さすらいの女神たち』でカンヌ監督賞を受賞した映画監督でもあるマチュー・アマルリック。彼の近年の魅力の詰まった出演作・日本未公開の監督作を特集上映!

料金:各作品1300円均一
上映スケジュール:
「潜水服は蝶の夢を見る」
11.21月-11.25金:15:00
11.26土:休映
11.27日:10:30
「クリスマス・ストーリー」
11.27日-12.2金:16:15
【特別上映】
「ウィンブルドン・スタジアム」 
※英語字幕版の上映となります
11.27日:14:45
12.2金:12:50

※《日本未公開作》ウィンブルドン・スタジアム Le Stade de Wimbledon
2001/フランス/72分/35mm/フランス語
マチュー・アマルリック監督長篇第二作。若い女が、しばらく前にこの世を去ったボビ・ウォレールという男の足跡をたどってイタリアのトリエステに旅立つ。その男を知っていた人々に会おうことを試み る。偉大な知識人であり、作家たちの友人であったその男が、なぜ何も書き残さずに死んでいったのかを知ろうとしていることが、女が人々に尋ねる問いから伺 える。ある本屋から情報を得て、彼女は、その男の若い頃の恋人のひとり、年老いた女性詩人に会いに病院を訪れる。その詩人は、彼女に、その男についての思 い出を断片的に語る。そしてその男の最後の妻だったリュバというロンドンに住んでいる女性の名前も告げられる。女は答えを得られぬまま、トリエステに何度 も足を運ぶ。何度も滞在を重ねていくうちに、彼女はその町の住人たちと擦れ違い、ボビのかつての仲間や恋人たちにも出会う。旅を続けるうちに、その男の人 物像は浮かび上がってくる。若い頃から猫背で快楽を求めて生きながら、生きることに幸せを見出せない、苦悩を抱えた快楽主義者、自ら文学の道に進むことで 自己崩壊してしまうのではないかという不安を抱えながら、その行為を他人に委ねて、この世を突然去った男……。事実が徐々に明白となっても、探求の目的そ のものは曖昧になり、彼女の探索の口実は消えていく。女はその段階に留まり続けることになるのだろうか?

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執筆者

Yasuhiro Togawa