昨今、映画の新たな上映方式DCP(デジタルシネマパッケージ)を全国の映画館に導入し、35mmフィルムでの上映が無くなる日が近いとされ映画業界全体がこの問題に揺れています。そんな中、11/19(土)〜『いちご白書』が35mmニュープリント上映で劇場公開。本作をご鑑賞になった方に大アンケートを実施!しかし、ほとんどの方がデジタル化になること、それによってどんなことが起こるのかを知らなかった様子。

デジタル移行に賛成?反対?大アンケート!
<アンケート結果>
・デジタルによってキズなどが改良されるが、やはりフィルムは味があるので残しておくべき(70代・男性)
・フィルムが50年、100年後にも使用できる状態で残せるのか不安です(50代・男性)
・両方あればそれにこしたことない気がします(40代・女性)
・名画のクラシックを35mmで観るのも映画ファンの楽しみの一つであることは確か(40代・女性)
・古い名作の上映機会が失われるのは後世の世代にとっても大きな損失だ(60代・男性)
・フィルムをデータ化して作品が残るようにしてほしい(40代・男性)

★DCP移行によるメリット・デメリット★
<メリット>
画質・音質がキレイになる

<デメリット>
公開される作品の数が少なくなる
→旧作、ミニシアター系の作品の本数が減る
→新人監督の作品が公開できなくなり、文化の損失につながる

★アンケートを実施して分かったのは、業界だけで話題になっているデジタル化問題が、一般の映画ファンには浸透していなかったこと。また、地デジやブルーレイの普及で、映像のデジタル化には慣れてきたコアユーザーが多く、年配のファンも映画館のデジタル化にはさほど抵抗の無い方も多かった。さらにリマスターされて、35㎜フィルムよりもきれいな画質の映画などがテレビやブルーレイで見られる環境になっており、ファンにはメリットはそれなりにある。一方、デジタル化のため色の発色が良過ぎてフィルムの質感が損なわれたという意見や、音楽のLPからCD、配信の移行と比較し、時代の流れとしてアナログのフィルムからデジタルデータへの移行は避けられないという考えも多く聞かれた。いずれのファンも望んでいるのは、フィルムセンターに代表される国や映画業界全体が協力して、良質な作品を長くみられるように今後、映画のデジタル素材としてネガなどのフィルム素材をライブラリー化してほしいというところに集約されているように思われた。

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執筆者

Yasuhiro Togawa