その上映時間の長さと、描かれた世界観の大きさで注目を集め、今年2月のベルリン国際映画祭では国際批評家連盟賞とNETPAC賞をW受賞した『ヘヴンズストーリー』の瀬々敬久監督。間もなく公開となる新作『アントキノイノチ』もモントリオール国際映画祭でイノベーションアワードを受賞し、瀬々監督は今年、2つの国際映画祭、2つの作品で、計3冠を獲得したことになる。
 また、『ヘヴンズストーリー』は今年発表された2010年度のキネマ旬報ベストテン第3位、映画芸術ベストテン第1位、毎日映画コンクール脚本賞受賞や高崎映画祭4部門(作品賞、主演男優賞、助演女優賞、新人賞)など受賞相次ぎ、瀬々監督は2010年度芸術選奨文部科学大臣賞も受賞。そしてこのたび、監督の出身地、大分にて、大分合同新聞文化賞を受賞、昨日25日に発表された。

 大分合同新聞文化賞は、大分在住、出身者を対象に、産業経済、地方自治、芸術文化、地方文化、学術、教育、医療の各分野で貢献、尽力された者に与えられる。昭和24年に発足し、今回で63回目。昨年は、モントリオール国際映画祭で女優賞を受賞した深津絵里が獲得している。大分県豊後高田市出身の瀬々監督の受賞理由は「長編「ヘヴンズストーリー」に続き、11月19日公開の最新作「アントキノイノチ」も海外の映画祭で受賞。世界で注目を浴び」たこと。大分合同新聞に掲載された、瀬々監督の受賞コメント、「故郷の栄えある賞を頂くことで、映画づくりの原点に立ち返れそうな気がする。新たな気持ちでスタートを切りたい。」とあるように、2011年は瀬々監督にとってまさに記念すべき1年となった。

 なお、『ヘヴンズストーリー』には、瀬々監督と同じく大分出身のシンガー山崎ハコも出演。
今回の受賞を聞いて「「ヘヴンズ ストーリー」という素晴らしい映画で女優デビューできたのは、監督が「同郷」の私を思い出してくれたからかもしれません。その凄い才能は、大分県人の誇りです。瀬々監督おめでとうございます。ヤッタね!」とコメントしている。

 監督自身が映画館で見て欲しいと未だDVD化していない渾身の大作『ヘヴンズ ストーリー』を、大分シネマ5では大分合同新聞文化賞受賞記念として11/3に上映。
 都内では、12月に再々アンコール上映も決定。今年1月に上映された際は全回満席と大盛況だったK’s cinemaで、今回は、瀬々監督が学生時代から憧れていたという石井岳龍監督や根岸吉太郎監督とのトークが予定されている。
 2011年数々の映画賞獲得した話題作『ヘヴンズストーリー』、今年のうちにぜひご覧いただきたい。

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執筆者

Yasuhiro Togawa