2004年の開催当初より、世界に先駆けてデジタルシネマにフォーカスし、才能ある映像クリエイターの発掘・支援に取り組んできました「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」(主催:埼玉県、川口市、SKIPシティ国際映画祭実行委員会ほか)は今年で8回目を迎え、10月16日(日)の授賞式にて無事閉幕いたしました。映画祭期間中は、上映のほか、多くのイベントも行われ、たくさんの皆さまにご来場いただきました。コンペティション作品上映時に、観客の皆さまに得点による人気投票を実施した結果、長編・短編部門作品のそれぞれの最高得点獲得作品は以下の2本に決定いたしました。

長編部門:『タッカーとデールと不吉なヤツら』 (2010年/カナダ/88分) 監督:イーライ・クレイグ
タッカーとデールは念願の別荘でバケーション。そのそばに大学生グループもキャンプへやってきた。
そして二人が女子大生を助けたことから、誤解が誤解を生み、事態はアンビリーバブルな展開に…。
・単純なパロディ映画にとどまらず、しっかりとしたテーマを持ち、優しさ溢れるエンタテインメント性に富んだ素晴らしい傑作!!
・ホラーと笑いが融合し、ラブコメなどあらゆる要素を取り入れた優れた脚本。
・スプラッター作品でありながら、殺人は起こらない。ものすごく怖いのに、最後には笑えるという不思議な感情を醸し出す作品。

短編部門:『記憶のひとしずく』 (2011年/日本/23分) 監督:畑中 大輔 最優秀作品賞受賞作品
認知症の母は娘・理恵子のことをヘルパーだと思いこんでいる。
理恵子はやり場のない気持ちを抑えながら、嫁いだ姉の発案で母が大好きだった映画館へ父とともに行くことにした。
・認知症”という深刻なテーマを重くなりすぎず、観終わった後にほっこりできる心にしみる素敵な作品。
・悲しみを悲しみのままではなく、あたたかいものとして映像に収めているのがとても良かった。「家族の風景」って大切と感じた。
・短編作品でありながら、間のとり方、余韻の入れ方が秀逸。俳優陣も素晴らしく、監督の表現したかった世界観が十分に伝わってきた。

執筆者

Yasuhiro Togawa