東日本大震災前の石巻市をメインロケ地とした映画『エクレール・お菓子放浪記』で主演を務めた吉井一肇(12)が21日夜、中国最大の映画祭「第20回金鶏百花映画祭」の国際映画部門で主演男優賞を受賞した。
2008年の『おくりびと』で男優賞受賞した本木雅弘さん以来、二人目の日本人としての受賞。しかも、12歳の子役の受賞は同映画祭史上初めてのこととなる。

金鶏百花映画祭とは、中国・安徽省の合肥で開催され、今年で第20回を迎える中国本土における最大の映画祭で、中国におけるアカデミー賞として有名。参加者約4万人の規模と言われている。
『エクレール・お菓子放浪記』が受賞したのは、国際映画部門賞である金鶏国際映画賞。日本、キューバ、イタリアなど世界約20カ国から28作品がコンペティション部門に招聘。
日本映画では過去に、2008年に『おくりびと』が国際映画部門の外国映画で作品賞、監督賞、男優賞、2010年に『孤高のメス』が外国映画部門最優秀賞を受賞している。

映画『エクレール・お菓子放浪記』は、作家・西村滋の同名小説を原作に、第二次大戦下を1人の孤児が、必死に生き抜き、やがて希望の光を見いだす姿を描いた作品。
主演の吉井一肇は、その確かな演技力や歌唱力を披露して、力強く生き抜く少年アキオを全身全霊で演じている。他に、いしだあゆみ、林隆三らが出演。
当初、宮城県では4月23日より全国に先駆けて先行上映を予定していたが、東北地方を襲った未曾有の大惨事によって見送りに。
5月21日より、東京はじめ全国順次公開され、被災地である宮城県・仙台での上映は7月30日に実現。
石巻市民の心の復興に、と関係者一同公開を待ち望んでいたロケ地・石巻での上映は、10月1日に始まったばかりで、現在もロングラン公開中。今回の受賞は、市民にとってさらなるうれしいニュースとなった。

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執筆者

Yasuhiro Togawa