世界中の映画ファンから常に新作が待たれるマイク・リー監督の最新映画『家族の庭』が、11月5日(土)ついに公開される。そのマイク・リーが演出する最新舞台“Grief”がロンドンのナショナルシアターで現在公演中、チケットは完売と話題を呼んでいる。なぜ、これほどまでに人気があるのか?

マイク・リーの演出方法は、脚本を完成させず役者と一緒に現場で芝居を作っていく、即興の会話劇が特徴。これまでは再上演をする事がなかったが、今春、1979年製作の“Ecstacy”を新キャストで初の再演。この反響の中、続いての新作舞台が“Grief”となったのだ。この舞台には『家族の庭』の主演女優レスリー・マンヴィルが出演。彼女は、1957年イギリス郊外に住む戦争未亡人ドロシー役で、残された暮らしの中に生きる女の葛藤を、見事に演じている。

マイク・リー作品に最も多く出演しているレスリーとの再タッグ。日本公開を控える『家族の庭』では、自身と同じく歳を重ね、穏やかに暮らす夫婦とそこに集う孤独や悲しみを抱えた人々の模様が、四季の移ろいと共に映し出される。物語がレスリー演じるメアリーに焦点が当てられる事で、その人生に思いを馳せ、見ている観客が自らを振り返らずにはいられない、そんなリアリティと余韻を残すのだ。

日本では過去に“Ecstacy”が翻訳上演された実績があるが、なかなか体験することのできないマイク・リーの舞台作品。ぜひこの最新舞台“Grief”、日本での上演も見てみたいものだ。

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執筆者

Yasuhiro Togawa