2005年11月、アミール・ナデリは東京フィルメックスに『サウンド・バリア』を携え来日し、そこで審査員を務めていた西島秀俊と出会った。その出会いは5年余りの年月を経て最新作『CUT』へと結実し、今年8月のヴェネチア映画祭で絶賛を博した。しかし、まだ現在の日本ではナデリ作品の「凄さ」は十分に知られていないだろう。第12回東京フィルメックスでの『CUT』ジャパン・プレミアを控えた今、彼のゼロ年代の傑作を2日間だけ限定上映。
ナデリとは何者か。彼の作品の魅力に迫る。

2011年11月11日(金)、12日(土)
オーディトリウム渋谷にて限定上映

会場:オーディトリウム渋谷 http://a-shibuya.jp/
    東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F TEL: 03-6809-0538

チケット:当日券のみ 1回券:1,500円/2回券:2,500円
映画美学校生および東京フィルメックスサポーターズ会員割引:1,200円(1回券)
※半券をお持ちの方はトークイベントをご覧いただけます
 (いずれの日時でも可、詳細は劇場まで)

・各回入替、自由席
・開場は開映15分前

『サウンド・バリア』
Sound Barrier/2005/107min.
ニューヨーク。11歳の聾唖の少年ジェシーは、ラジオのDJだった亡き母親の声を録音したテープを探してクィーンズの倉庫にやって来る。ジェシーは苦労して大量のテープの中から母親のテープを探し出す。テープの中で母親が何を言っているのかを知るために、ジェシーはテープを持って街へ出るのだが…。

→上映日時:11月11日(金)19:00〜、11月12日(土)21:15〜

『べガス』
Vegas: Based on a True Story/2008/102min.
砂漠の中の大都市ラスベガス。その近郊にパーカー一家は暮らしている。自動車修理工の父エディは稼ぎの大半を賭博に注ぎ込み、ウェイトレスとして働く母トレイシーが家族の生活を支えている。ある日見知らぬ男が訪ねてきたことにより、一家のささやかな生活は一変する。ヴェネチア映画祭コンペティションで上映。

→上映日時:11月11日(金)21:15〜、11月12日(土)18:15〜
※11/12(土)『べガス』上映終了後トークイベントを予定
(ゲスト:黒沢清<映画監督>・聞き手:市山尚三)

【アミール・ナデリ プロフィール】 Amir NADERI
1945年、イランのアバダン生まれ。スチール・カメラマン、映写技師、助監督などを経験した後、「Khoda Hafez Rafig(Good Bye Friend)」(71)で映画デビュー。アッバス・キアロスタミとともに児童青少年知育協会をベースに活動。『駆ける少年』(86)、『水、風、砂』(89)で2作連続してナント三大陸映画祭グランプリを獲得。その後アメリカに移住し、現在はNYを拠点に活躍中。最新作は日本で撮影された『CUT』(11)。第12回東京フィルメックス審査委員長。

【西島秀俊、『CUT』の撮影現場を語る】
「『CUT』の撮影は想像を超えたとてつもない体験で、自分にとってもこの作品が転機になりました。この映画があったから今後も俳優を続けていけると思えましたし、『CUT』以前と以後の自分に分かれるほどの体験でした」※2010年11月10日に丸の内カフェで行われた西島秀俊さんとアミール・ナデリ監督の対談より採録

徹底的にやる、とことんやる、何が何でもやる、それがナデリ流だ。こうして映画からあらゆる装飾と贅肉と錆とがそぎ落とされ、凶暴な本質がまばゆいばかりに光り始める。我々が目にするのは一種の鍛え上げられた刃物だと言っていいだろう。それが轟音と共にスクリーンから斬りかかってくる。よけられる者はいない。そして映画が終わった時、観客の心は一度失った命を再び与えられたかのような不思議な喪失感と希望とで満たされる。映画とは本来このような力を持つものだったのだ…黒沢 清(映画監督)

●第12回東京フィルメックス●
2011年11月19日(土)−28日(日)有楽町朝日ホール 他 にて
URL:http://www.filmex.net

執筆者

Yasuhiro Togawa