2007年に公開された本作品は、ダムに沈んだ岐阜県揖斐郡徳山村の15年間を追った写真家・大西暢夫の初監督作品で、本年に至るまで全国で上映が続き、待望のDVDが9月に発売となりました。

巨大事業によって土地を追われる哀しみ、住み続けたふるさとで暮らしたい想い、これら『水になった村』の主題は、福島第一原発事故による福島の人々の今を想起せざるを得ません。

チェルノブイリ原発事故の被害にあったベラルーシの村々を追った『ナージャの村』『アレクセイと泉』の監督であり本作プロデューサーの本橋成一による以下の言葉は、今まさしく深みを帯びてきています。
「陽の当たるアスファルトの村道にひたひたと水が浸みてくる。小さな黒いバッタが突然の水でチョコチョコと逃げ出す。また水が迫ってくる。そしてまた水が…。撮影も大詰めになってきたころ、大西暢夫が撮ってきた映像を観てぼくはこれでこの映画は完成したと思った。
どうして人間だけが大地の時の流れを振り切って走り出してしまったのだろう。
あのバッタをはじめ、ほかの生きものたちはみんな知りたがっている。」

大西暢夫監督は写真家として活動しつつ、近年は写真による絵本の執筆が多く、徳山村が舞台の『おばあちゃんは木になった』で日本絵本賞を受賞、昨年発表された『ぶた にく』は小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞を受賞するなどたいへん話題になりました。
初監督作品となった本作もEARTH VISION 地球環境映像祭で最優秀賞を受賞しています。

本上映では被災地の取材を重ねている大西監督が10月10日(月・祝)に来場します。
被災地の現在、徳山村の現在、など最前線を走り続けている大西監督のお話をお聞きできるチャンスになるでしょう。
本橋成一プロデューサーも10月8日(土)に来場されます。

産經新聞に発表された大西暢夫監督による被災地のレポート↓
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110727/art11072708040002-n1.htm

当館では10月8日より二週間、
本橋成一プロデュース・大西暢夫監督『水になった村』のDVD発売を記念し、
アンコール・モーニングショーを開催致します。

震災以降、再映のリクエストがたいへん多かった作品で、DVD発売を機に二週間のモーニングショー。

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=45841

執筆者

Yasuhiro Togawa