父の遺した“エンディングノート”が開かれる、その時まで。
人間味あふれる父とその姿を見守る家族を娘が描いた、
感動のエンターテインメント・ドキュメンタリー。

2009年、東京。熱血営業マンとして高度経済成長期に会社を支え駆け抜けた「段取り命!」のサラリーマン・砂田知昭。67歳の時、仕事も一段落し40年以上勤めた会社を退職、第二の人生を歩み始めた矢先に、毎年欠かさず受けていた健康診断で胃ガンが発見。すでにステージ4まで進んでいた。残される家族のため、そして人生総括のために、最後のプロジェクトとして課したのは「自らの死の段取り」だった。果たして彼は人生最後の一大プロジェクトを無事に成し遂げることができたのか?そして残された家族は—。
膨大な映像記録から「家族の生と死」という深淵なテーマを軽快なタッチで描き出したのは、大学在学中よりドキュメンタリーを学び、卒業後はフリーの監督助手として是枝裕和らの映画制作に従事、本作が初監督となる砂田麻美。プロデュースに、『誰も知らない』『奇跡』など映画監督として第一線を走り続ける是枝裕和。そして主題歌「天国さん」はハナレグミの新曲、劇中音楽全編もハナレグミが制作した。

死を前に思わず生まれる笑い、ユーモアを自然に捕える。人は笑わずには死んでいかれない。
いく分かの苦しみの中、あきらめの中、安堵の中、温かさの中で、旅立つ。カメラはそのほとんど全ての場面の前で回り続ける。さわやかな死だった、悲しい明るい別れだった、私にはそう映った。
医師 徳永 進

主人公(父)のキャラクターもさることながら、 
カメラを向けている人間(娘)の非常に冷静なふたつの批評性
(撮られている者と撮っている私の両方へ向けられた)によって、
この作品はアクロバティックにドキュメンタリーとして成立している。
監督の視線は人間の、生命の、家族のおかしみと哀しみの両方に届いていた。
プロデューサー 是枝裕和

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執筆者

Yasuhiro Togawa