今秋開催いたしますラテンビート映画祭 LATIN BEAT FILM FESTIVAL 2011の開催が決定いたしましたので、お知らせいたします。第8回目の2011年は、昨年に引き続き新宿・京都・横浜の3都市で開催いたします。
現地から届いた選りすぐりの最新作はもちろん、もう一度スクリーンで見直したい珠玉の旧作も特別上映。
毎年恒例となりました、来日ゲストとのQ&Aも行われます。
ラテンビート映画祭オフィシャルサイト(近日更新予定): http://www.hispanicbeatfilmfestival.com/

【開催場所&日程】
東京:9月15日(木)〜19日(月)
新宿バルト9(新宿三丁目イーストビル9階)

京都:9月22日(木)〜25日(日)
T・ジョイ京都

横浜:10月7日(金)〜10日(月・祝日)
横浜ブルク13(TOCみなとみらい6階)

映決定作品
「キューバの恋人」(日本・キューバ)監督:黒木和雄、出演:津川雅彦、ジュリー・プラセンシア
「うるう年の秘め事(仮)ANO BISIESTO」(メキシコ)監督:マイケル・ロウ、出演:モニカ・デル・カルメン
「MISS BALA」(仮) (メキシコ)監督:ヘラルド・ナランホ、出演:ステファニ・シグマン
「いとこ同士(仮)PRIMOS」(スペイン)監督:ダニエル・サンチェス・アレバロ、出演:キム・グティエレス
「誰もいない…(仮)AUSENTE」(アルゼンチン)監督:マルコ・ベルヘール、出演:カルロス・エチェバリア
「雨さえも〜ボリビアの熱い一日〜(仮)TAMBIEN LA LLUVIA 」(スペイン・フランス・メキシコ)監督:イシアル・ボジャイン、出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、ルイス・トサル
その他、ラテン各国から届いた最新作を上映いたします。近日、全作品決定!

【上映作品詳細】

キューバの恋人 
監督:黒木和雄
出演:津川雅彦、ジュリー・プラセンシア、フィデル・カストロ
1969年/モノクロ/日本・キューバ/101分
1968年。革命から10年後のハバナに降り立った船員アキラは、街で見かけたマルシアに一目惚れする。彼女は葉巻工場で働きながら、革命を守るため民兵になっていた。アキラは、帰郷する彼女を追ってキューバを縦断。行く先々で革命に献身する民衆やその苦難の歴史を目の当たりにする。アキラにとってそれは、求愛の旅であると当時に、平凡な日本人の価値観と革命的キューバの現実との葛藤の旅でもあった。

キューバ革命10周年を記念して製作された日本=キューバ唯一の合作映画で、カストロやチェ・ゲバラの演説や歓喜する群衆、道端で語らう市民など、当時のキューバの歴史的映像がふんだんに盛り込まれたドキュメンタリー風のロードムービーに仕上がっている。キューバ側は、劇映画監督として当時は無名に近かった黒木監督を指名し、全面協力。企画4か月、ロケハン1か月、現地ロケ3カ月半という独立プロとしては過重な経済的負担と闘いながらの製作であった。すでにスター俳優だった津川雅彦は、この作品に賭け、ほかの仕事を断って同志的に参加。無軌道で情熱的な若者を生き生きと演じている。

うるう年の秘め事(仮)ANO BISIESTO
監督:マイケル・ロウ
出演:モニカ・デル・カルメン、グスタボ・サンチェス・パラ、アルマンド・エルナンデス
2010年/ドラマ/メキシコ/94分 
2010年カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)
4年に1度だけやってくる、うるう年の2月。メキシコシティのアパートに一人で暮らすラウラは、田舎の母親と電話で話したり、インターネットを利用して外の世界とつながりながら、淡々と暮らしていた。だが、夜になると彼女の生活は一変。激しい孤独感から、夜な夜な男たちを部屋に連れ込み、激しく身体を重ねるようになる。中でもアルトゥーロとの関係にラウラは夢中になる。そして、ラウラが忘れることのできない2月29日がやってくる…。
激しい性描写やサディズムといったアブノーマルな世界を描き、2010年のカンヌ国際映画祭では、大島渚監督の「愛のコリーダ」と並び称されるほどの衝撃を与えた。
オーストラリア出身のロウ監督はこの作品でカメラドール(新人監督賞)を受賞している。

MISS BALA (仮)
監督:ヘラルド・ナランホ
出演:ステファニ・シグマン、イレーネ・アスエラ、ミゲル・コトゥリエル
2011年/アクション・ドラマ/メキシコ/113分
ミス・バハ・カリフォルニアになることを夢見る23歳のラウラは、友人と出かけた国境の町のナイトクラブで、ある凄惨な虐殺現場に遭遇。犯人から口止め料をもらったことをきっかけに、権力と欲望が渦巻く裏社会に足を踏み入れていく。
着飾ることにしか興味がなかった若い女性が、事件をきっかけに、凶暴な野獣となっていく様をリアルに描く。銃社会や麻薬密売、警察の汚職といったメキシコの現実にメスをいれたハードなバイオレンス・ムービー。実在するミスコンの女王ラウラ・スニガの事件がベースになっている。

いとこ同士(仮)PRIMOS
監督:ダニエル・サンチェス・アレバロ 
出演:キム・グティエレス、ラウル・アレバロ、インマ・クエスタ
2011年/コメディ/スペイン/97分
結婚式当日、花嫁に逃げられたディエゴは、いとこのフリアン、ホセ・ミゲルに連れられて傷心旅行へ。3人は、少年時代に素敵な夏の思い出を作った懐かしの村を訪れる。子供に戻ったように、羽目をはずして遊びまわるディエゴだったが、彼の前に、10代の頃の彼女マルチナが現れたことで、事態は急展開…。「蒼ざめた官能」で若い二人の赤裸々な愛を描いて注目を浴びたダニエル・サンチェス・アレバロ監督が、主演のキム・グティエレスと再びタッグを組んだ。大人になりきれない男たちのひと夏の思い出を描く。

誰もいない…(仮)AUSENTE
監督:マルコ・ベルヘール
出演:カルロス・エチェバリア、ハビエル・デ・ピエトロ、アントネラ・コスタ
2011年/スリラー/アルゼンチン/87分
2011年ベルリン国際映画祭テディ賞
高校の水泳教師セバスチャンは、目を怪我した生徒マルティンを病院に連れていく。治療後、マルティンの家まで送ろうとするセバスチャンに対し、彼は「学校の友達と遊びに行く予定だから、授業に戻りたい」とせがむ。だが、すでに学校に友達の姿はなく、セバスチャンはマルティンを自分の家へ連れていくことにする。
怪しげな魅力を放つ美少年と、彼の仕掛ける罠にはまっていく高校教師の危ない関係をミステリアスに描く。2011年のベルリン国際映画祭ゲイ&レズビアン映画部門(テディ賞)で見事大賞を受賞した話題作。監督はアルゼンチンの新鋭マルコ・ベルヘール。

雨さえも〜ボリビアの熱い一日〜(仮) TAMBIEN LA LLUVIA
監督:イシアル・ボジャイン
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、ルイス・トサル、エンマ・スアレス
2010年/ドラマ/スペイン・フランス・メキシコ/103分
2011年ゴヤ賞助演男優賞
新大陸の発見者、クリストバル・コロンを描く映画撮影のため、監督のセバスチャンとプロデューサーのコスタは、ボリビアのコチャバンバにやって来る。ボリビアをロケ地に選んだのは、単に製作費を節約するため。ところが現地では、折しも欧米企業による横暴な水道事業の運営に対し、地元住民は反感を募らせていた。
まもなく水道料金の大幅値上げに端を発し、抗議運動が激化。数千人がコチャバンバでデモ行進を計画したが、政府は武力で鎮圧し、多数の死傷者が出る。やがてデモはコチャバンバに留まらず、ボリビア全土に広がっていく。
2000年初頭にボリビアで起こった水道事業を巡る攻防「水戦争」を、映画スタッフの目を通して描いた社会派ドラマ。

執筆者

Yasuhiro Togawa