本年度のカンヌ国際映画祭において、僅か3分間の映像でスタンディングオベーションを巻き起こし話題になった、映画「マイウェイ」(2012年1月14日(土)公開)。
主演のオダギリジョ—に「毎日、死にそうな思いをしている」と言わしめるほどの過酷さを極めた本作の撮影現場。ラトビアにおいて行われた、最大のクライマックスである“ノルマンディー上陸作戦”の撮影を終え、無事にクランクアップしました。
この度、韓国映画としては史上初めて、本国に先駆けて、日本で特報が“世界初解禁”される事になりました。監督と、オダギリジョー、チャン・ドンゴンからのコメントも到着しております。

■オダギリジョ— 【国を信じた男 長谷川辰雄役】
<長期間に及んだ撮影に関して>※韓国で8カ月、ラトビアは1ヵ月
始まる時は、地獄の日々が始まると思いましたが、今日で終わるとなると寂しいですね。元々、韓国は好きだったので、仕
事で8カ月過ごせたのは幸運だと思ったし、楽しかったです。ラトビアも季節も良くて、凄く楽しかったです。
<作品に関して>
第二次世界大戦に触れるというのは、どこの国にとっても凄く敏感な事柄です。そんな中、韓国、中国、日本、三か国の俳優が集まってこの作品を作るという事が、大きな挑戦だと思いました。この作品は、二人の男の物語です。ただその物語の中に戦争があるというだけで、戦争映画だとは思っていません。 
<チャン・ドンゴン氏に関して>
 日本でも有名な韓国のトップスターですし、すごく緊張するんじゃないかと思ってました。実際にお会いしたら、意外に
シャイな部分があり、一人でいる事が好きな部分だったり、人との距離感であったりが僕と似た部分が見えてきて、お互いが無理することなく、過ごしやすい空気感を共有できるようになりました。一緒に芝居をする時も、お互いに尊重しあえて、演技しやすい環境を作りあえる、そういう関係性だったので凄くやりやすかったです。
ドンゴン氏とは、俳優としてというよりも人間として似た部分が多いと感じました。凄く理解しあえている気がして、とても身近に感じました。
<現場スタッフとの一体感に関して>
色んなタイミングで、役者やスタッフとも、食事に行ったり呑みに行ったりする機会があって、色々な話しが出来で良かったなと思っています。僕よりも若いスタッフが多く、みんな「ヒョン、ヒョン(兄さん、兄さん)」と呼んでくれたり、一つの大きな家族のような一体感が出来ていたと思います。
 通常、現場のスタッフの方々と、「みんなで集まってサッカーをやろう」という事にはなかなかならないので、今回、ひとつのきっか
けとして、みんながサッカーが好きという共通点があって、 休みの日にサッカーが出来たりしたのが楽しかったですね。
日本では撮影監督と一緒にサッカーをする機会というのは無いですからね。想い出の一つとして残っています。

■チャン・ドンゴン 【夢を信じた男  キム・ジュンシク役】
「日本語での演技は感情表現などが難しかったが、オダギリさんとは共感しあいながらできた」
「人物や人間に重点を置いて描かれてる。そして、日韓中とアジアの役者が集まって感情を表現し合い、
観客に伝えている。これは凄い事だと思う。」

<クランクアップの感想、長い撮影が終わった感想は?>
8カ月の長い撮影が終わって、終わってみると何故か、わかんないけど寂しい気がする。改めて振り返ると、もっと上手くで
きたかもと思ってしまう部分も出てくる。

<出演を決めた事に関して>
朝鮮半島からノルマンディまでの12.000kmの極限状態の旅を生き抜いた兵士の実話が基になっている事で興味がわい
て、本当にこんな過酷な運命を生き抜いた人がいるんだと知り、役者としてその人の人生を演じてみたいと思った。
『マイウェイ』は、たまたま戦争時代が背景だっただけで、戦争映画ではないですね。
背景が戦争時代ですが、人間に重点を置いて描かれている。そして、日韓中とアジアの役者が集まって感情を表現し合い観客に伝える。これは凄い事だと思う。日本人と韓国人が敵として出会い、運命をともにする。観客の心に残る映画だと思う。

<自身が演じたジュンシクに関して>  
  映画に出てくる戦争は、実際にあった戦い。登場人物たちは、戦争を経験する度に軍服が変わる。
ジュンシクは、軍服や状況変わるは変わるけど、夢と希望は変わらない。戦争や背景は変わっても貫くものがあることを
表現。辰雄は、戦争を経験するたびに、大きな変化をする戦争を全面に出すのではなく、戦いを経験するたびに変化する。
人物の内面を表現している。ジュンシク役について求められたのは、どんな状況であっても彼は希望と夢を失わない目
をしてなければならないということ。撮影が辛すぎて、うまくできたかわからない(笑)。撮影していて、目の前で爆発するのをみる
と、これが本当の戦争だったら俺は死んでるなーと思うと怖いですね。ノルマンディー上陸作戦はよく知られている戦いですが、   
実際にラトビアに来て、ドイツの軍服を着て撮影してると、本当にその時代に、ここにいたらどうだったのだろうと深く考えさせられ 

<日本語での演技と、オダギリさんについて>
やはり韓国語で演じる時よりも大変です。感情表現するにも、どうしても限界がある。でも、演技というのは言葉を交わすという
より、感情を交わすことなので、そういう部分ではオダギリさんとすごく共感しながら演技ができた。辰雄役は、何人か候補がい
たけど、絶対オダギリさんがいいって思った。日本と韓国の映画現場は色々違うと思うし、この映画は役者にとっても大変な現
場だったのに。冷静に対応し、よく耐えていた。本当に素晴らしい役者。

 日本の観客の皆さん、マイウェイの撮影が終わりました。完成して、早く皆さんに見せたいです。期待してください。

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執筆者

Yasuhiro Togawa