「ちいさなひとのえいががっこう」は子どものための映画学校を作るべく立ち上げられた、ボランティアによるサークルです。これまで「おはなしくらべ」などの子ども映画会を過去に35回、また「映画館遠足」を5回企画して実施してきました。
http://yaplog.jp/eigagakkou/

現在、東京都現代美術館にてカナダのアニメーション作家「フレデリック・バック展」が開催中です(10月2日まで)。この開催を記念して、バックの短編アニメーションを4本、上映します。ちいがくでは以前、『木を植えた男』を上映したことがありますが、今回の4本も幻想的な表現の中に、バックの強いメッセージが込められた素晴らしい作品ばかりです。親子そろって楽しむことで、映画を観たあとにたくさんのお話をしたくなることでしょう。

上映の合間には16mmフィルム映写機を近くで見学しながら、映写の仕組みを学ぶプログラムも予定しています。子どもたちはもちろん、親にとっても楽しめるプログラムとなっています。
入場は無料。

■開催概要
主催:ちいさなひとのえいががっこう
後援:杉並区教育委員会
協力:特定非営利活動法人東京フィルメックス実行委員会
日時: 2011年7月23日(土) 14:00-15:50
会場:杉並区立中央図書館 視聴覚ホール (杉並区荻窪3-40-23)
    →JR中央線、地下鉄丸ノ内線「荻窪」駅南口から徒歩10分
   地図→https://www.library.city.suginami.tokyo.jp/TOSHOW/html/SHISETSU/index_01.html
料金:無料(先着50名)
ブログ:http://yaplog.jp/eigagakkou/
お問い合わせ:ちいさなひとのえいががっこう(担当:岡崎)
   e-mail: eigagakkou@hotmail.co.jp
  *大人だけの参加(見学、取材など)をご希望の際はあらかじめご連絡ください。

■上映スケジュール
【14:00 開始】
 14:00 映画を観る前のお話
 14:05 上映開始
     「イリュージョン」16mm、12分
     「タラタタ」16mm、9分
     「トゥ・リエン」16mm、11分
 14:45 休憩、映写機見学
 15:00 後半 上映開始
     「クラック!」16mm、15分
     「木を植えた男」16mm、30分
 【15:50 終了予定】

■上映作品の解説
「イリュージョン」
(12分/1975年/カナダ/カラー/16mmフィルム)
自然の中で遊ぶ子どもたちのもとへ、楽器をたくさん持っている男がやってくる。彼は魔法のようなわざで子どもだちをひきつけ、風景を近代的な街に変えていく。いつの間にか、子どもたちは街の工場で歯車のように働かされてしまう。やがて、おかしなことに気づいた子どもたちは工場を後にして、自分たちの土地へ帰る。バックは、「自然が与えてくれる健康でシンプルな喜びが、いかに人工的な作り物にとって代わられてしまうかということ」にショックを受けて、この作品を作ったと語っている。

「タラタタ」
(9分/1976年/カナダ/カラー/16mmフィルム)
街の通りでやがてパレードが始まる。騎馬隊、鼓笛隊、オープンカー、帆船、ネイティブ・アメリカン、カヌー、大砲、消防車、兵隊…たくさんの面白いものが通りすぎていきます。少年と犬も、パレードを一目みたいのだけれど、人が多すぎて割り込めません。がっかりしながら、パレードを離れた裏通りで小さな旗を拾います。その瞬間、少年には自分だけのパレードが目の前に広がっていきます。フレデリック・バックが、フランス系カナダ人の守護聖人である聖ヨハネのパレードに触発されて製作した作品で、映画が作られた1970年代にはあまり観られなくなったパレードへのノスタルジックな想いを込めて製作した。

「トゥ・リエン」
(11分/1978年/カナダ/カラー/16mmフィルム)
生きものたちを次々と作り出していった創造主が、最後に人間を作る。しかし、人間は欲望を膨れ上がらせ、殺戮を繰り返してしまう……。ツヤ消しのアセテートフィルム(セル)にプリズマカラーと呼ばれる色鉛筆でスケッチ風に描くというスタイルが編み出され、後に続く作品で発展継承されていく。アカデミー賞短編アニメーション部門ノミネート。

「クラック!」
(15分/1981年/カナダ/カラー/16mmフィルム)
フレデリック・バックの長女、スーゼルのアイデアをもとに、一脚のロッキングチェアが辿る運命を通じて、失われつつあるケベックの伝統的な生活や文化、家族愛、自然への共感、現代文明批判などをユーモラスに描く。「トゥ・リアン」でのツヤ消しセルに色鉛筆で描く手法は、フレデリック・バックならではのものとして定着した。アカデミー賞短編アニメーション部門受賞。

「木を植えた男」
(30分/1987年/カナダ/カラー/16mmフィルム)
羊飼いのエルゼアール・ブッフィエは、たった一人で荒地に木を植え続けていた。ブッフィエの無償の行為は、不毛の地に緑をしたたらせ、生命の輝きに満ちた場所に甦らせた。ジャン・ジオノの原作に感銘を受けたバックが、5年半の歳月をかけ、2万枚におよぶ作画作業の大半を一人でこなして作り上げた代表作。また、コンピュータ制御の撮影台を使い、より高度で複雑なカメラワークを見せている。前作に続きアカデミー賞短編アニメーション部門受賞。そして、この映画に感動した人々による植樹運動が世界中に広がりを見せた。

★★ フレデリック・バック プロフィール ★★
1924年、当時、国連管理地区であった、フランスのザール地方で生まれ、その後、アルザス、パリに移り住む。1941年、レンヌに移り、美術学校に入学。師と仰ぐマテュラン・メウの下で学ぶ。1948年、カナダのモントリオールに移住。美術学校などで教鞭を取った後、1952年にラジオ・カナダに就職。イラストレーター、セットデザイナーとして働く。1967年にモントリオール万博受付会場の装飾、地下鉄駅のステンドグラスなどを制作。1968年にラジオ・カナダでアニメーション部門が設立され、以後、9つのアニメーション作品を制作。1982年に『クラック!』、1988年に『木を植えた男』で、アカデミー賞短編アニメーション部門を受賞。
現在もモントリオールに住み、創作活動を行う傍ら、自然保護団体の活動などにも参加している。

■「ちいさなひとのえいががっこう」とは…?
 「映画を勉強しよう!」をコンセプトに、子どもも親も一緒になって映画を楽しめる場を作りたい、とボランティアの有志が集まって活動を始めたサークルです。これまでに「こどもえいがかい」を35回開催してきました。
活動を開始してから6年が経ちました。これからもいろいろな映画上映会で映画を楽しんだり、近くの映画館へ遠足に行ったり、映画の作り方の秘密を知るためのワークショップを企画しようと考えています。
ただいま「ちいさなひとのえいががっこう」では、一緒に活動をしてくれるボランティア・スタッフ(年齢・職業関係なし!)と、一緒に映画を楽しんで観てくれる生徒を募集しています。ブログはhttp://yaplog.jp/eigagakkou/
詳しくは、eigagakkou@hotmail.co.jp (岡崎)までお問い合わせください。

執筆者

Yasuhiro Togawa