2010年の第63回カンヌ国際映画祭にて、ケン・ローチ、マイク・リー、北野武、アッバス・キアロスタミなどの巨匠監督たちを押さえて、見事、最優秀監督賞の栄冠に輝いた、マチュー・アマルリック監督作「さすらいの女神(ディーバ)たち」(原題Tournée/英題ON TOUR)待望の日本公開が決定いたしました。
本作は、ユーモアや風刺を効かせたセクシーでゴージャスな舞台を繰り広げるショーダンサーたちのグループ〈ニュー・バーレスク〉を引き連れ、落ちぶれたTVプロデューサーの男が再起を図ろうとパリを目指して巡業していく姿を、可笑しくも切なく綴る。
「青い麦」「シェリ」で知られる女流作家シドニー=ガブリエル・コレットが自ら踊り子として巡業したことを綴った手記に着想を得て、舞台上では大胆にいきいきと輝きながらも孤独を抱える女性たち、そして、彼女たちの優しく大らかな包容力に救われる男を、愛情深く描く。華やかなショーの舞台裏で続く、人生のほろ苦さやささやかな幸福が胸に沁みるロードムーヴィーの傑作が誕生した。
フランス版ビジュアルにもあるように、「魅力的で大きな愛で包んでくれるような女性の中に、ポツンとたたずむ男」という構図が本作をよく表している。
劇中に女優として堂々と登場するのは全員現役の〈ニュー・バーレスク〉ダンサーたち。2010年第63回カンヌ国際映画祭のレッドカーペッドにも集結した彼女たち。どこにいてもその場をパーティのような雰囲気にしてしまう、クレイジーでワイルドでセクシー!な華やかさは、ひと際注目の的となっていた。
撮影では実際に彼女たちのツアーをフランスの撮影地で敢行。大盛りあがりの観客を目の前に、臨場感あふれる彼女たちの姿が画面にそのまま刻み込まれ、映画の最大の魅力となっている。
 監督・主演を務めるのは、『潜水服は蝶の夢を見る』『007 慰めの報酬』などフランスだけでなく世界中から引っ張りだこの人気俳優マチュー・アマルリック。彼の処女作はゴダールからも絶賛されるほどで、これまでに短編も含め10本の作品を監督、本作で長編4作目となる。無類の映画狂としても知られる彼の映画愛に満ちた力作が、ついに日本での劇場公開を実現させました。

★この作品をいち早く鑑賞した俳優の加瀬亮さんから、絶賛コメントが到着しました。
この男は、何に出会い、何を手ばなして、いったい何処へ辿りついたのだろう。
この映画を、シンプルで確かな喜びを求めて、これからを生きる、全ての人たちへ。—加瀬亮(俳優)

STORY:

明日に向かいたきゃ、過去をお脱ぎなさい!
涙をぬぐって、自分をまとう。甘くてしょっぱい、人生は旅。
トラブルを起こし業界から干されてしまったTVプロデューサーのジョアキム(マチュー・アマルリック)。子供も友人も恋人も全てを捨ててアメリカに渡った彼は、数年後、華麗なショーダンサーたちのグループ<ニュー・バーレスク>で成功し、意気揚々と凱旋。フランスで巡業ツアーを開始し、次々と観客を沸かせてゆく。
しかし、最終目的地であるパリでの公演が決まらない!? 昔のつてをたどり奔走するが、“過去”がそれを許さない。焦りがつのり自暴自棄になってゆく彼とダンサーたちの間に、次第に亀裂が生じてゆき……。果たして、彼らの人生を賭けた〈ツアー〉はどこへたどり着くのか?

★<ニュー・バーレスク>とは……古くは17C末の英国ヴィクトリア朝時代を起源とし、1920年頃にアメリカでュージックホールやキャバレー等で隆盛を極めた<バーレスク>の進化形のこと。
ど派手なメイクにキラキラした宝石、ランジェリーやコルセットなどの衣装に身を包み、ユーモアや風刺を取り入れた歌やダンスを披露する、大人のためのエンターテインメント。男性目線に媚びないありのままの女性美を称賛、自由を謳歌しステレオタイプを打ち砕く彼女たちは、アメリカを拠点にいまやヨーロッパ各地で公演をするほどの人気ぶり。

監督・主演 : マチュー・アマルリック (『潜水服は蝶の夢を見る』『キングス&クイーン』『そして僕は恋をする』主演)
出演:〈ニュー・バーレスク〉ダンサーたち(ミミ・ル・ムー、キトゥン・オン・ザ・キーズ、ダーティ・マティーニ、ジュリー・アトラス・ミュズ、イーヴィ・ラヴェル、ロッキー・ルーレット)
2010 年フランス映画(フランス語・英語)/1時間51分/提供:IMJエンタテインメント/配給:マジックアワー+IMJエンタテインメント

9月、シネスイッチ銀座 他全国順次ロードショー!

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執筆者

Yasuhiro Togawa