この度、国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」(以下、<きぼう>)で、10月1日公開の映画『はやぶさ/HAYABUSA』の<地球最速宇宙試写会>が行われることになった。
<きぼう>でさまざまな実験に取り組み、多忙な日々を送る古川聡宇宙飛行士に、<はやぶさ>の快挙を描く映像でエールを送りたい、という映画関係者からのオファーが実り、地球上空約400㌔に位置する国際宇宙ステーション内での試写、という前代未聞の試写会が実現することになったのだ。

日本の映画業界はもちろんのこと、公開前の映画作品を宇宙に送信し、地球上の誰よりも早く、宇宙飛行士に映画試写を実施することは、世界初の試みである。

試写会は現時点では7月下旬の実施を予定しているが、国際宇宙ステーションに向け 最後のフライトとなるスペースシャトルの打ち上げの状況や軌道上作業の状況等によっては、日程が変更となる場合もある。

映画『はやぶさ/HAYABUSA』は、通信途絶、エンジン停止など何度も危機に見舞われながら、7年間、60億キロにも及ぶ旅をした小惑星探査機<はやぶさ>の帰還を信じ、闘い続けた人々の姿を描く感動の実話。『20世紀少年』シリーズ、『明日の記憶』の堤幸彦監督がメガホンをとり、竹内結子、西田敏行らが出演。JAXAの全面協力を得てミッションの細部までリアルに再現、<はやぶさ>が見た深宇宙の壮大な映像と、<はやぶさ>を支えた人々の苦闘を鮮やかに浮かびあがらせる。
7月1日現在  撮影は終了し、現在CG合成など最後の仕上げ作業が行われている。7月下旬の「宇宙試写会」では NASA経由の衛星回線を利用してデータ通信を行い、映像を宇宙に送信。限られた時間での「フッテージ上映」になるが、無重力空間で試写を見る古川宇宙飛行士の映像と、試写会会場である<きぼう>船内の映像と音声がつくば宇宙センターに送られてくる予定。映像を見終わった古川宇宙飛行士の感想も送られてくる。
史上初の宇宙試写に作品を送り出す堤幸彦監督は「宇宙空間で私たちの作品を観ていただけるとは、子供の頃の夢が現実になった気分です」とコメントをよせている。

 国際宇宙ステーション(ISS)  日本実験棟「きぼう」

ISSは、米国・ロシア・欧州・カナダなど世界15ヶ国が参加する国際協力プロジェクトで、地上から約400km上空に建設される巨大な有人実験施設。日本初の有人施設である「きぼう」日本実験棟では、宇宙だけの特殊な環境を利用したさまざまな実験・研究、地球や天体の観測などを行っている。

古川 聡宇宙飛行士
古川 聡(ふるかわ さとし、1964年(昭和39年)4月4日 – )
日本人宇宙飛行士。神奈川県横浜市生まれ。
栄光学園高校在学中、医者である叔父の影響で医学部進学を志す。その後東京大学医学部を卒業し、消化器外科の臨床及び研究に従事するが、宇宙飛行士募集のビデオを見て子供のころ持っていた宇宙へのあこがれが再燃。医師としての経験を十分に活かした宇宙での活躍を期待される。2011年6月8日にソユーズに搭乗し、現在は約5か月半の国際宇宙ステーション(ISS)第28/29次長期滞在ミッションを行っている。
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執筆者

Yasuhiro Togawa