『HERO』『LOVERS』そして『初恋のきた道』——。中国から世界に向けて、多くのヒット作を放ってきた巨匠チャン・イーモウ。作品を発表する度、登場人物の素晴らしい描写と抒情的な美しい映像に、世界中が虜になり、これまで多くの映画賞を獲得してきた。その監督が放つ最新作は、文化大革命の嵐の中ではかなく散った青年と少女の悲しい恋を描いた、実話に基づくラブストーリーだ。

原作は、中国系アメリカ人作家エイミーの同名小説。自身の友人である女性の文革時代のエピソードをもとにしており、ネットで発表後またたく間に口コミが広がった。その後書籍化され、売り上げは300万部を突破。経済誌「アジア・ウィークリー」の投票で中国語小説の堂々No.1に輝いた。近年、日本では過酷な運命の中で愛を貫く“純愛”をキーワードにした作品が、若い層を中心に大ヒットを続けているが、中国においても、文革を背景にしながら普遍的な愛を描いた本作は、現代の中国の若者たちの涙を誘い、過去10年の文芸映画作品で最高の興行収入を記録した。

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執筆者

Yasuhiro Togawa