新藤監督作品に惚れ込んだ俳優ベニチオ・デル・トロが上映を熱望!

アメリカ/ニューヨーク・ブルックリンのBAMシネマテークにて開催される「新藤兼人監督回顧展」にて、新藤兼人監督最新作である『一枚のハガキ』がプレミア上映されることが決定。今回の回顧展は、新藤監督作品に感銘を受けた俳優ベニチオ・デル・トロ氏の働きかけで開催が決定。デル・トロ氏がディレクターとして自ら選んだ10作品の上映と、最新作『一枚のハガキ』がプレミア上映されます。オープニング初日である4月22日は、奇しくも新藤監督99歳の誕生日です! 回顧展開催に向けて、新藤監督からのコメントも届きました。なお日本でも、『一枚のハガキ』公開直前にテアトル新宿にて新藤監督特集が予定されております。

新藤兼人監督コメント
 私は広島の生まれだから、広島へ原爆が落とされたことを99歳のいまも忘れることが出来ない。何故、無断で戦場ではなく、平和な町へ落としたのか?それを問いたい。
今回、「原爆の子」がアメリカの中央都市であるNYの映画館で公開されることは、非常に名誉だと思うし、この映画を作った甲斐があると喜んでいる。この映画は被爆7年後の広島で撮影された。当時はまだGHQの占領下にあり、復旧しつつある広島の町とは言え、生々しい原爆の傷跡が感じられるだろう。是非、いまのアメリカの人々に観てほしい。そして、原爆、戦争と言うものに対して一緒に考えて欲しい。
日本ではいま過去最悪の大地震と津波により、多大な人命が失われただけでなく、原子力発電所の被害により放射能の恐怖に覆われている。いま、原爆・放射能の問題は世界の問題となった。これからの世界を作る人々にこの世界の問題を考えてほしい。みんなが未来を作るのです。
私は今年99歳になります。もうこれで私の映画人生は終わります。私の映画人生を終わらせるために最後の映画を撮りました。「一枚のハガキ」という映画です。最後の力をこめて作った映画です。戦争はひとりの兵士を殺すだけではなく、そのすべての家族、家庭も壊すおろかな行為です。そして、どんなことがあっても人間は立ち上がれるという人間の力強さを、僕の長い人生の中で締めくくりの映画として作りました。その「一枚のハガキ」も今回上映されます。どうぞ皆さん「一枚のハガキ」もちゃんと見て下さい。
最後に、今回この催しを企画して下さったベニチオ・デル・トロさんに感謝します。彼の勇気ある行動を非常にありがたく思っております。アメリカの人に私の代表作を見てもらえるのは、私にとって大変嬉しいことですし、非常に光栄に思っています。

☆新藤兼人回顧展
・期間:2011年4月22日(金)〜5月5日(木) 
・会場:BAM Rose Cinema
上映作品とスケジュール
4月22日〜4月28日 『原爆の子』 / 『裸の島』
4月29日  『薮の中の黒猫』
4月30日&5月1日 『鬼婆』
5月2日 『一枚のハガキ』
5月3日 『母』/『どぶ』
5月4日 『裸の十九才』 / 『竹山ひとり旅』
5月5日  『落葉樹』 / 『第五福竜丸』

BAMシネマテーク web http://www.bam.org/view.aspx?pid=40

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執筆者

Yasuhiro Togawa