『選挙』『精神』の想田和弘監督による最新作ドキュメンタリー『Peace ピース』(7月よりシアター・イメージフォーラムほかにて公開)が、2011年香港国際映画祭(3/20〜4/5開催)にて「最優秀ドキュメンタリー賞」を受賞いたしました。

■審査員コメント
『Peace ピース』は人の心を動かす並外れた力を備えた静かな映画だ。人々や猫たちの日常生活を追いかけながら、カメラは観客をひとつの発見へと導く。それは、最も根本的な意味での平和というコンセプト、妥協の末に得られた不承不承の共存ではなく、我々の人間性の中心にあるアイデアとしての平和である。映画はありふれたものを通じて崇高なものに到達した。
審査員:Carma Hinton(カーマ・ヒントン)、Ruby Yang(ルビー・ヤング)、藤岡朝子

■想田和弘監督コメント
祖国の大惨事に心が折れて香港行きをキャンセルしようかと思いましたが、自分の仕事は映画を作り続け見せ続けることだと思い参加を決めました。その決断は正しかったと心から思います。これからも映画を作り続けます。

Profile 想田和弘(そうだ・かずひろ)
1970年栃木県足利市生まれ。東京大学文学部卒。スクール・オブ・ビジュアルアーツ卒。93年からニューヨーク在住。
NHKなどのドキュメンタリー番組を40本以上手がけた後、台本やナレーション、BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。その第1弾『選挙』(07年)は世界200カ国近くでTV放映され、米国でピーボディ賞を受賞。ベルリン国際映画祭へ正式招待されたほか、ベオグラード国際ドキュメンタリー映画祭でグランプリを受賞した。
第2弾『精神』(08年)は釜山国際映画祭とドバイ国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞、マイアミ国際映画祭で審査員特別賞、香港国際映画祭で優秀ドキュメンタリー賞、ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭で宗教を超えた審査員賞を獲得するなど、受賞多数。2010年9月には、『Peace ピース』(観察映画番外編)を発表。韓国・非武装地帯ドキュメンタリー映画祭のオープニング作品に選ばれ、東京フィルメックスでは観客賞を、2011年香港国際映画祭では最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。その後も世界各国の映画祭から招待が相次いでいる。現在、平田オリザ氏と青年団を撮った『演劇(仮)』(観察映画第3弾)を編集中。著書に『精神病とモザイク』(中央法規)がある。

7月、シアター・イメージフォーラムにてロードショーほか全国順次公開

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執筆者

Naomi KannoNaomi Kanno