昔から「色男、金と力はなかりけり」と申しますが、実際は色男ほど金も力も持っているのが現実。ところが映画の世界ではしばしばこのふたつに縁のない人物が魅力的に描かれてきました。完全無欠のスーパーマンの冒険よりも、優柔不断で生活力がなくて自分勝手な男たちの織りなすちっぽけな物語が身につまされるのも、それが鏡に映った私たち自身の自画像だからなのかもしれません。そんな彼らのどこに母性本能をくすぐられるのか、くっつき離れながらも結局は傍に寄り添う女たち。それは腐れ縁とも菩薩とも。金も力もないけれど、色香と愛嬌だけはたっぷりと持ちあわせた男たち。真の意味での昭和の「いい男たち」が今、銀幕の中でよみがえります。

「華麗なるダメ男たち〜色男、金と力はなかりけり〜」上映作品リスト
■人生いろいろ、男もいろいろ 4月2日(土)〜4月8日(金)
1、『夫婦善哉』 出演=森繁久弥、淡島千景 監督=豊田四郎 昭和30年 白黒
2、『洲崎パラダイス 赤信号』 出演=三橋達也、新珠三千代 監督=川島雄三 昭和31年 白黒
3、『暖簾』出演=森繁久弥、山田五十鈴 監督=川島雄三 昭和33年 白黒
4、『杏っ子』 出演=木村功、香川京子 監督=成瀬巳喜男 昭和33年 白黒
5、『晩菊』出演=上原謙、杉村春子 監督=成瀬巳喜男 昭和29年 白黒
6、『女に強くなる工夫の数々』出演=宝田明、司葉子 監督=千葉泰樹 昭和38年 カラー
7、『団地七つの大罪』出演=小林桂樹、司葉子 監督=千葉泰樹、筧正典 昭和39年 カラー

■オトコってずるい!だまされても好きな人 4月9日(土)〜4月15日(金)
8、『猫と庄造と二人のをんな』出演=森繁久弥、山田五十鈴 監督=豊田四郎 昭和31年 白黒
9、『夜は嘘つき』出演=中村鴈治郎、山本富士子 監督=田中重雄 昭和35年 カラー
10、『喜劇 女は男のふるさとヨ』出演=森繁久弥、中村メイコ 監督=森崎東 昭和46年 カラー
11、『肉体の学校』出演=山崎努、岸田今日子 監督=木下亮 昭和40年 白黒
12、『悪魔からの勲章』出演=田宮二郎、江波杏子 監督=村山三男 昭和42年 白黒
13、『女ごころ』出演=森雅之、原節子 監督=丸山誠治 昭和34年 白黒
14、『結婚の夜』出演=小泉博、安西郷子 監督=筧正典 昭和34年 白黒

■わたしの愛したろくでなし 4月16日(土)〜4月22日(金)
15、『色ごと師春団治』出演=藤山寛美、藤純子 東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品(ロゴ) 監督=マキノ雅弘 昭和40年 白黒
16、『魚影の群れ』出演=佐藤浩市、夏目雅子 監督=相米慎二 昭和58年 カラー
17、『恋文』出演=萩原健一、倍賞美津子 監督=神代辰巳 昭和60年 カラー
18、『ろくでなし』出演=津川雅彦、高千穂ひづる 監督=吉田喜重 昭和35年 白黒
19、『秋津温泉』出演=長門裕之、岡田茉莉子 監督=吉田喜重 昭和37年 カラー
20、『火宅の人』出演=緒形拳、いしだあゆみ 監督=深作欣二 昭和61年 カラー
21、『青い野獣』出演=仲代達矢、司葉子 監督=堀川弘通 昭和35年 白黒

■殺したいほど愛してる!ダメ男の流儀 4月23日(土)〜4月29日(祝)
22、『夜の片鱗』 ※ニュープリント上映 出演=桑野みゆき、平幹二朗 監督=中村登 昭和39年 カラー
23、『喜劇 特出しヒモ天国』出演=山城新伍、池玲子 監督=森崎東 昭和50年 カラー
24、『裏階段』*16ミリ 出演=田宮二郎、司葉子 監督=井上梅次 昭和40年 カラー
25、『こころ』*16ミリ 出演=森雅之、新珠三千代 監督=市川崑 昭和30年 白黒
26、『不敵な男』出演=川口浩、野添ひとみ 監督=増村保造 昭和33年 白黒
27、『銀座の砂漠』*16ミリ 出演=長門裕之、芦川いづみ 監督=阿部豊 昭和33年 白黒
28、『人生とんぼ返り』*16ミリ 出演=森繁久弥、山田五十鈴 監督=マキノ雅弘 昭和30年 白黒

■昭和色男列伝 4月30日(土)〜5月6日(金)
29、『恋化粧』出演=池部良、岡田茉莉子 監督=本多猪四郎 昭和30年 白黒
30、『濹東綺譚』出演=芥川比呂志、山本富士子 監督=豊田四郎 昭和35年 白黒
31、『みれん』出演=仲代達矢、仲谷昇 監督=千葉泰樹 昭和38年 白黒
32、『慕情の人』出演=三橋達也、原節子 監督=丸山誠治 昭和36年 カラー
33、『愛と炎と』出演=三橋達也、司葉子 監督=須川栄三 昭和36年 カラー
34、『しのび逢い』出演=佐田啓二、桑野みゆき 監督=酒井辰雄 昭和37年 白黒
35、『おはん』出演=石坂浩二、吉永小百合 監督=市川崑 昭和59年 カラー

一般¥1200/シニア・学生¥1000
★ 自由席定員制(99席)・整理券制 ★各回完全入替制

神保町シアター(千代田区神田神保町1-23/Tel.03-5281-5132)
地下鉄「神保町駅」A7出口3分/JR「御茶ノ水駅」御茶ノ水橋出口8分
三省堂書店すずらん通り側出口対面・浅草厨房の角入る

■神保町シアターHP::http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/

執筆者

Naomi Kanno