妻夫木 聡(『悪人』)と、松山ケンイチ(『ノルウェイの森』、『GANTZ』)が初共演し、若き奇才・山下敦弘監督と共に実在の事件を基に描いた衝撃と感動の映画『マイ・バック・ページ』(5/28公開)。

劇中、妻夫木演じる理想に燃える若きジャーナリスト・沢田が勤めるのが、架空の新聞社“東都新聞社”の革新的雑誌「東都ジャーナル」編集部。この「東都ジャーナル」のモデルとなった雑誌「朝日ジャーナル」が、この度、朝日新聞出版より、緊急復刊されることになった。

1959年に創刊した「朝日ジャーナル」は、全共闘運動が盛んだった60〜70年代にベトナム反戦運動や安保闘争を多く取り上げ、当時の学生を中心に人気を博した伝説の雑誌。学生運動が下火となった後も、ロッキード事件について立花隆氏が長期に渡り連載をしたり、筑紫哲也氏が編集長を務めたりと、常に時代を拠りながら、政治・経済・文化を揺さぶる記事を連発する革新的雑誌として注目を浴び続けてきた。その「朝日ジャーナル」の復刊は、2009年4月の「創刊50年 怒りの復活」号以来、2年ぶりの試み。今回のテーマは「日本破壊計画」という。

映画『マイ・バック・ページ』は、評論家・川本三郎氏が朝日新聞社在籍時に「週刊朝日」「朝日ジャーナル」編集部で過ごしたジャーナリスト時代の自身の経験を綴ったノンフィクション著書「マイ・バック・ページ」(平凡社刊)が原作。今回復刊された「朝日ジャーナル」には川本氏も登場し、作家の中森明夫氏と対談を行っている。

「時を超えて蘇った青春—『マイ・バック・ページ』の時代」と題されたその対談で、川本氏は1972年に自身が新聞社を辞めた過去に触れつつ、映画化と雑誌の復刊を「当時はこうなるとは夢にも思わなかった。」と述べつつ、「私は本当に長い間、四面楚歌で孤立していたんです。あまり人と付き合いたくないという気持ちがあったんだけど、今度の映画が作られていく過程を見ていて、「あっ、これが連帯だったんだ」という思いがして、ようやく孤立から抜け出せました。本当に映画の作り手たちに感謝してます。」と語った。

対談は1970年代・80年代の二つの時代を政治的・文化的側面から振り返る読み応えたっぷりな内容となっている。映画『マイ・バック・ページ』を観る前に、当時の“熱”を感じるために「朝日ジャーナル」を読んでみると良いかもしれない。

「朝日ジャーナル 知の逆襲」は、3月15日(火)発売。定価500円。
映画『マイ・バック・ページ』は5月28日(土)全国ロードショー。

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執筆者

Naomi Kanno