1/15(土)〜2/4(金)当館で、坂井田俊監督作『悪魔がきた』、そして同監督作『壊したいおもちゃ』をレイトショーにて同時上映いたします。
『ビタースイート』監督・女池充に見初められ、『おそいひと』『堀川中立売』監督・柴田剛を困らせた怪作、怪監督です。

———————————————————-
あいつ、まだ生きてるかな
『悪魔がきた』

坂井田 俊 監督作品 
30分/DV/2010
遠山貴弘/青木伸也/大塚貴彦

■2011年1月15日(土) 公開 トリウッド にて

悪魔は存在しない
悪魔は人間が作った存在
悪魔は欲求を強く肯定できる代用物
絶対的な何かを欲しがる欲求に入り込む
付け込む余地がある限り悪魔は何度も人間の所に来る
—坂井田俊が制作時に書いた作品概要より

「坂井田俊の夜には怪物が潜み、時折その存在を垣間見せる。けれどもMoby Dickよろしく、その全貌を捕えることは容易ではない。いっそのこと映画になんかしなければよかったのかもしれない。悪魔の筆先として、奴等が吹き出す映像の奔流をそのままに垂れ流してやるだけで。オレンジ色した煉獄でもがく男たち、彼等の願いは罪の浄化ではなく、ただ全身の血をたぎらせたかっただけなんじゃないか。そんなことに悪魔を持ちだす必要があるのか…どうか、手を貸して欲しい。坂井田俊は目覚めたがってる。たくさんの目に曝されることで彼が覚醒をし、魔物を撮らえた映画が生まれることを願って止まない。」

女池 充
exピンク映画監督 『ビタースイート』『まるで再出発』
2006年調布映画祭審査員時、坂井田俊の才能を見出す。

『 悪 魔 が き た 』 目覚めを呼ぶ 声

カッコイイ映画だ!殺意に満ちた若者たちのビヘイビアを、まるで篝火だけの能の舞台を遠方から眺めているかのように風景に淡々と埋没させてゆく三脚固定カメラ、
完璧に乾き切ったタブロー、徹底した表層主義、それに対する劇的に生々しい同時録音。
人間臭さゼロ、ニヒルで厭世観漂う都市郊外の犯罪が今、切り取られてゆく。
・・・冷めた眼差しで社会に毒づく強迫観念に苦悶する武骨な若手監督が、久々に登場したぞ。
—帯谷有理 (映像作家)

坂井田作品の映像からは、犯罪者から離脱したもうひとつの人格が、己を犯した行為を冷静にビデオカメラで記録していたかのような、
本物の臨場感と狂気と、そして、悲しさが感じられる。
—村上賢司 (映像作家)

本作の不条理に満ちた世界、時間と物語を拒絶するような編集が、誰の、どんな欲望を満たすのか、皆目見当が付きません。
「壊したいおもちゃ」「悪魔がきた」と向き合う頭の中から作り手の真意を探り当てるのは困難で、断片的な記憶が再構築する自分なりの映画とパズルが合致することもありません。誰の所有物にもならない映画がここにあります。
坂井田監督の作品全てには同じ嗜好が溢れていると聞きます。1人の作家の多様性を、新作ごとに、もしくは短編集といった形式を借りて振り分ける表現手段に、抵抗を覚えることがありますが、映画にしようとするモチーフがそれ一つしかない坂井田監督は、手段としての自己表現には収まりきらない、人間としての業の深さすら思わせ、僕なんかはゾクッとなります。
—小原治 (ポレポレ東中野スタッフ)

同時上映:『壊したいおもちゃ』

事件を起こしたいと思いました。
僕が事件を起こす前に彼が先に事件を起こしました。
僕は彼を見て自分の事だと思いました。

坂井田俊監督作品 29分/DV/2007

「坂井田俊と向かい合ってみてください。僕もじっくりと何度も向かい合いました。
短編なので繰り返すことができます。坂井田俊はカメラを使ってその前で人を動かして、
壊したいおもちゃという自分のなかの衝動をはっきりとわかりやすく伝えてきますよ。
ただ出てくる人物のことで注意があります。背格好や髪型や顔が似てる2人が5組も出てきます。
そんな混乱を心と脳を開放して楽しむと、坂井田俊が抱えているであろう物、物忌み、化物語が現れてきました。そして悪魔がきた!」
—柴田剛 映画監督『おそいひと』『堀川中立売』

「このポイズン野郎!貴様はカリフォルニアで浄化しろ。いや、するな。いやっ!しろ。ん…やっぱするな!永遠に毒であれ。鉄であれ。」
—石井モタコ (オシリペンペンズ)

———————————————————–
<坂井田俊 (さかいだしゅん)>

1984年生まれ。2004年、殺人を犯した少年と、殺人願望を持った少年のあてのない二人旅を描いた「壊したいおもちゃ」を監督。
本作で、調布映画祭ショートフィルムコンペティション奨励賞受賞、シネアストオーガニゼーション入選を果たす。
2008年、「悪魔がきた」の原型とも言える、人間以上の力を持った人間を描いた「怪物はここにいる」監督。
「悪魔がきた」は、死んでも死なない男を描こうとするが考えがまとまらず、頭の中に見える画を、人気のない道で実体化するまで即興で回し、
調布映画祭で知り合った映画監督女池充の助言を受けながら、1年の編集を経て完成した作品。
———————————————————–

■タイムテーブル
2011年1月15日(土)〜2月4日(金)連日20:00〜 ※火曜定休

■料金
当日:一律 900円 前売券:700円

■上映劇場
下北沢トリウッド 東京都世田谷区代沢5-32-5-2F 03-3414-0433

■トリウッドHP::http://homepage1.nifty.com/tollywood/index.html

≪イベントも続々決定!!≫

■トークイベント
全日程上映後。坂井田俊監督×ゲストトーク!!
1/15(土)女池充(映画監督「ビタースイート」「まるで再出発」)
1/16(日)柴田剛(映画監督「おそいひと」「堀川中立売」)
1/22(土)村上賢司(映像作家「夏に生れる」「拝啓、扇千景様」)
1/23(日)帯谷有理(映像作家「毛髪歌劇」「サイケデリックオルガンパンダ」)

執筆者

Naomi KannoNaomi KannoNaomi Kanno