「世界のアニメーションシアター」開催
「ヨーロッパの短編アニメーション特集上映」と
「カナダ・アニメーション・フェスティバル」が
統合レーベル「世界のアニメーションシアター(通称WAT)」としてスタート!
2000年から毎年開催している、世界の短編アニメーションの特集上映。
本年は、ヨーロッパ、カナダから全29作品を集めました。中でも目玉は、本年度のアヌシーと広島という世界四大アニメーション映画祭でダブル受賞を果たした『Angry Man/アングリーマン』。この他にも、映画祭受賞作品から新人作品まで、1分から長くても30分までの様々なジャンルの作品を揃えました。この機会に是非ご鑑賞下さい。
ヨーロッパショートアニメーション集
★ 22作品 / 5プログラム
世界最大規模のアニメーション映画祭<アヌシー>で得たネットワークを活用し、フランス、ドイツ、ポーランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、イスラエルから、様々な技法と、幅広いテーマ性のヨーロッパの最新作22本をセレクトしました。
家庭内暴力を乗り越える父子を描いた『アングリーマン〜怒る男』、イスラエル占領地域での暴力を告発するイスラエルの人権団体B’Tselemの「shooting back」に因む『ホワイトテープ』といった社会問題を扱う作品から、就活に悪戦苦闘する女性の『ミス・リマーカブルの就活』、人形アニメーション『スポットとスプラッチ』、独創的なグラフィックスが魅力的な『ことばの狩人』、『水泳王ジャンフランソワ』といったアート作品まで。
更に、ポーランド出身で現在はドイツで活躍する、ベルリン映画祭銀熊賞受賞のクレイアニメーション作家イザベラ・プリュシンスカの最新作を含む4本を上映。
そして、現在注目されているアニメーション専門校2校の学生作品を特別に紹介します。ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州フィルムアカデミー(FBW)、デンマークのアニメーション・ワークショップ(TAW)です。TAWは独立系作家の制作を支援する”オープンワークショップ”を20年来運営しており、そこで生まれた作品群の一部を今回日本で初公開します。
第11回カナダ・アニメーション・フェスティバル(CAF) ケベック編
★ 7作品 / 2プログラム
11回目となる「カナダ・アニメーション・フェスティバル(CAF)」は、ケベック州モントリオールに拠点を置く、独立系制作会社5社によるTVアニメーションの特集です。
カナダはアニメーションの制作、配給に力を持っており、長年、米国だけでなく、特にフランス語圏であるケベック州はフランスとの結びつきが強く、アヌシーのような国際映画祭には、カナダ作品が必ず登場し、高い評価を得ています。
今回の「ケベック特集」は、私がアヌシーで知り合った製作者達の協力で実現しました。ゲーム産業が活況なケベックは、映画テレビ産業を振興する州政府の組織があり、制作会社の海外進出を支援しています。
今回の上映作品の製作会社は、いずれも国際共同制作実績がある、商業アニメーションのエキスパート達です。世界175カ国に販売された『トゥーピーとビヌー』から、日本アニメ風の学園コメディ『マイライフミー』、特別プレミアとなる児童向け新シリーズ『プチ・ラパン・ブラン』まで、多彩なラインアップです。
そして、第72回アカデミー賞受賞作『老人と海』は、日本、カナダ、ロシアの国際共同制作の金字塔として特別上映します。
■アヌシー、そしてヨーロッパのアニメーションについて■
一昨年のグランプリ作品『つみきのいえ』の加藤久仁生監督に米アカデミー賞への扉を開いた、世界最大規模のアニメーション映画祭<アヌシー>(http://www.annecy.org/)は今年50周年を迎え、世界中から15万人の観客、7300人の専門家を集めました。一昔前、作家性やアート性を追求する作家たちの上映会だったアヌシーは、短編から、TVシリーズや長編まで、多様なアニメーションと制作者の交差点へと飛躍しました。私は、1999年からアヌシーに通っています。ヨーロッパでは制作費の低い国へ外注するのではなく、自国や域内での制作を目指し、その規模を拡大しています。行政の政策支援もありますが、この活気を支えるのは制作者の裾野が広がった事、そして若手の実力の高まりでしょう。世界各地の映画祭コンペティションには2000本近い新作がエントリーされるようになり、若手は短編で評価され、様々な商業分野へ成長します。演出・監督だけでなく、プロデューサーや制作スタッフも同様です。また、映画・映像の専門教育機関も充実し、数多くの人材が巣立ちます。
世界のアニメーションシアター WAT2010 Worldwide Animation Theater – WAT 2010
会期: 2010年11月13日(土)〜12月10日(金)
会場: 短編映画館トリウッド 〒155-0032 東京都世田谷区代沢5-32-5-2F
03-3414-0433 HP:http://homepage1.nifty.com/tollywood/
入場料金:当日券 1プログラム 一般900円/学生800円
2プログラム 一般1,600円/学生1,400円
3プログラム 一般2,100円/学生1,800円
一日券 一般4,000円/学生 3,500円
執筆者
Yasuhiro Togawa