6月の定期上映会は、今度の6月6日(日)に、京劇界の伝説の名優である梅蘭芳の舞台生活50周年を記念して制作された《梅蘭芳の舞台芸術》、および北京の下街に生きる庶民生活を描いた《胡同愛歌》の2作品をDVDで上映します。

●上映作品:京劇集《梅蘭芳の舞台芸術》
1955-1956年北京電影制片厂制作
カラー/スタンダード/DVD/205分/日本語字幕つき
原題◎梅蘭芳的舞台藝術
監督◎呉祖光(ウー・ズーグァン)
総撮影◎呉蔚云(ウー・ウェイユン)
撮影◎王?成(ワン・ドゥチェン)、張沼濱(ヂャン・シァオビン)
主演◎梅蘭芳(メイ・ランファン)、劉蓮榮(リゥ・リェンロン)
張蝶芬(ヂャン・ディエフェン)、梅葆玖(メイ・バオジゥ)
姜妙香(ヂァン・ミァオシァン)、兪振飛(ユィ・ヂェンフェイ)
蕭長華(シァオ・チャンホァ)、李慶山(リー・チンシャン)
劇映画《胡同愛歌》
2003年 中国電影集団公司 出品
カラー/ビスタサイズ/DVD/100分/日本語字幕スーパー
モントリオール国際映画祭(2004年)審査員特別賞(July Award)受賞作
原題◎看車人的七月(The Parking Attendant in July)
言語◎中国語(普通話)
監督◎安戦軍(アン・ヂャンジュィン)
脚本◎張挺(ヂャン・ティン)
撮影◎江秀佳(ヂァン・シゥヂア)
美術◎楊宝成(ヤン・バオチェン)、牛福智(ニゥ・フーヂ)
音楽◎王黎光(ワン・リーグァン)
録音◎関鍵(グアン・ヂエン)
主演◎范偉(ファン・ウェイ)、陳小藝(チェン・シァオイー)
趙君(ヂャオ・ヂュィン)、張wei迅(ヂャン・ウェイシュィン)
呂中(リュー・ヂョン)、陳朶朶(チェン・ドゥオドゥオ)
●上映日時:6月6日(日) (開場は各回開始の10分前)
10:10 胡同愛歌
12:20 梅蘭芳の舞台芸術
16:00 胡同愛歌
18:00 梅蘭芳の舞台芸術
●上映会場:シビックホール会議室
(文京区役所がある文京シビックセンター3F)
東京メトロ丸ノ内線・南北線 後楽園駅 直結
都営地下鉄三田線・大江戸線 春日駅 直結
地図: http://www1.parkcity.ne.jp/gentyuei/civic.htm
●会 場 費:700円(胡同愛歌)、1000円(梅蘭芳の舞台芸術)
●入 会 金:600円(一般会員、同時入会可、有効期間1年)
8100円(フリーパス会員、同時入会可、有効期間1年)

※非会員の方は同時入会することでご覧いただけます(要入会)。
※毎回入れ替え制です。
※会場費割引券はDVD上映会ではご利用いただけません。
※6月の会場に限りフリーパス会員の新規入会を受け付けます。

《梅蘭芳の舞台芸術》
1955年から2年がかりで呉祖光によって記録された梅蘭芳の京劇舞台。すでに還暦を過ぎた年齢であったが不世出の京劇俳優の舞台を動く映像として記録した作品として非常に貴重なもの。上下に分けられた本作は、梅蘭芳の舞台生活50周年を記念した記録映画部分に始まり、昆曲《断橋》、京劇《宇宙鋒》、京劇《覇王別姫》、京劇《貴妃醉酒》を3時間あまりにまとめた当時としては非常に珍しい貴重なカラー作品。

記録映画
梅蘭芳の舞台生活50周年を記念して集まった人たちと梅蘭芳自身の挨拶などを収録した記録映画。

断橋(昆曲)
有名な『白蛇傳』の一節。白娘子は西湖の断橋で不義理にも逃げ出した夫に遭遇した。しかし、それは僧侶の法海のせいだと悟り、仲直りする。

宇宙鋒(京劇)
秦の二世皇帝が匡洪に下賜した宇宙鋒という宝剣。しかし、謀反を企む趙高はこの宝剣を盗み、皇帝を襲って匡洪に責任を押しつけた。

覇王別姫(京劇)
漢の劉邦と楚の項羽は決戦に望まんとしていた。四方から聞こえる楚の歌に負けを悟った虞妃は項羽の剣で自ら命を絶ち、項羽も後を追う。

貴妃醉酒(京劇)
楊貴妃は玄宗皇帝から寵愛を受けていた。しかし、その日は皇帝が西宮の梅妃を訪ねたことを聞く。皇帝の寵愛を失ったと思った貴妃は酒に酔って宮殿に帰った。

《胡同愛歌》
中年カップル、杜紅軍(ドゥ・ホンヂュィン)と小宋(シァオソン)が結婚写真を撮影している。お互い再婚である。それを憮然と眺めるのは紅軍の15歳の息子・小宇(シァオユィ)。紅軍はレストランの駐車場の誘導員兼集金人で、小宋は花屋を経営している。小宇は小宋に頼まれ花の配達を手伝ったりしていた。紅軍は2年ほど前に会社をリストラされて以来、駐車場の仕事をしていた。小宇は父親と離婚した実の母親を想い、小宋を「おばさん」としか呼ばなかった。
ある日、小宋の花屋にやってきた彼女の前夫・劉三(リゥ・サン)はいきなりスイレンの鉢を店のガラスめがけて投げつけた。刑務所を出所したばかりの劉三は小宋との離婚に合意していたもののその約束をほごにした。粗暴な劉三は紅軍の前から小宋を無理矢理連れ去った。バラ色の結婚生活を前に相手がいなくなってしまった紅軍が小宋の花屋を見に行くと、そこには劉三に食事を出す彼女の姿があった。失意の紅軍はその場を後にした。
小宇は同級生の遊びの話に乗らず300元貯めるという。大切に集めた貴重な切手を売るなどして、なんとか金をかき集めた小宇だったが、チンピラにからまれ奪われてしまった。すぐに友人を集め、仕返しに向かう小宇たち。ケンカが始まったが、警察が来て全員捕まってしまった。紅軍は小宇のもらい下げに警察に行った。学校で300元の出所を先生に聞かれる小宇。何のお金なのか、何に使うつもりだったのかと厳しく詰問され、しばらく躊躇していた小宇は、先生の亡くなった家族に義捐金として贈るつもりだったと答えた。先生は返す言葉がなかった。
小宋に未練たっぷりの紅軍は、昼間から酒浸りの劉三へ談判に行った。しかし、劉三は包丁を持ち出して暴れる。紅軍は小宋を呼び出して話し合うが、彼女は離婚の約束を切り出したら殺されてしまうと怯えていた。
酒を飲み小宋をベッドに誘う劉三。それを拒否する小宋。余りに粗暴な劉三が居座る自分の家から飛び出した小宋は紅軍のもとへたどり着いた。紅軍は小宋のただならぬ様子を察した。彼女は身の上話を始めた。そこへ酔った劉三が棍棒を持って飛び込んできた。棍棒で殴りかかり大声で叫ぶ劉三の狼藉を近所の人たちが止めてくれたので彼は捨て台詞を残して去っていった。しかし、劉三は仕返しのため紅軍の管理する駐車場に忍び込み、隙を狙って高級車のフロントガラスを粉々にした。
紅軍はそれを見つけたものの劉三は逃げ足が速かった。車の管理責任を上司から問われた紅軍は弁償を迫られることになった。
不幸は続くもの。紅軍は小宇の誕生日のためになけなしの50元をはたいてバースデーケーキを買って帰る途中、暴走自転車に当て逃げされケーキが台無しになってしまった。しばらく茫然としていた紅軍だったが、彼は何か思いついたように最寄りの公衆電話から救急に電話を入れた…。

監督の安戦軍は1958年生まれの中堅監督。2005年の中国映画100年記念作品《定軍山》でも有名である。最新作は2009年の《万家灯火》。
紅軍を演じる范偉は1962年、遼寧省生まれ。趙本山と共に相声(中国漫才)の人気者だ。本作で2004年モントリオール国際映画祭最優秀主演男優賞を受賞している。
小宋役の陳小藝は1970年、四川省生まれ。非常に多くのテレビドラマやCMに出演しており、美人中堅女優として中国ではおなじみの存在である。

執筆者

Yasuhiro Togawa