クリント・イーストウッド。彼は、映画ファンのみに愛される存在ではない。もはやその名前は、常識として誰もが知るべき存在にまでなった。
今年80歳を迎えるイーストウッドだが、精力的に映画製作を行い、世界各地を飛び回る。アメリカでは、「イーストウッドの監督する西部劇に出演したい!」と誰もが切望し、俳優としては、引退宣言をしてもなお人気No1の座に君臨し、復活を願う。彼は世界で最も愛され、注目される男なのだ。

では、みなさんはイーストウッドがスターとして名を挙げた作品をご存知だろうか?それは、『荒野の決闘』でも『ダーティー・ハリー』シリーズでもない。それは……
「ローハイド」
……約7年間にわたり放送された、TV西部劇ドラマだったのである。
アメリカではTV俳優と映画俳優では、ランクが違うとされている。今でこそその垣根が外れてきているが、イーストウッドの若かりし頃は、業界だけでなくTVの前のアメリカ人が皆、「映画俳優とTV俳優は別物。」という意識だったのだから、現在最も尊敬される俳優として君臨しているイーストウッドのすごさを改めて実感させられるというもの。「ER」のジョージ・クルーニー、「フレンズ」のジェニファー・アニストン、「グレイス・アナトミー」のパトリック・デンプシーなど、彼らの成功は、間違いなくクリント・イーストウッドという大きな存在があってこそ、成立したといっても過言ではないのだ。

「ローハイド」とはどんなドラマだったのか?
アメリカで1959年にCBSで放送された西部劇である。当時、30分もののドラマが主流だったTV業界に1時間枠で勝負をかけたが、その人気に火がつくのに、時間はかからなかった。
1話完結型のカウボーイたちの物語で、毎回何らかの事件に巻き込まれ、見事に解決し、牛とともに旅をする——。
リーダーのフェイバー、イーストウッド演じるロディ(名前の意味は「荒くれ者」!)、料理人のウィッシュボーンなど、個性的なキャラクターと、銃撃戦や馬での疾走シーン、そしてなにより魅力にあふれた物語。
この人気はアメリカだけにとどまらず、戦後の混乱期から高度成長期に突入した50年前の日本で放送(NET 現テレビ朝日)されるやいなや、あっという間に西部劇ブームが巻き起こった。それは最高視聴率が43.4%を記録するという、今では考えられない数値をたたき出されたことに証明される。その後この人気に続けと、「ララミー牧場」「コンバット」など、質の高い米国ドラマが日本のお茶の間に定着していった。
イーストウッドは1962年、当時としては珍しい「ローハイド」のプロモーションで初来日を果たすことになる。彼らをひと目見ようと羽田空港の到着ロビーに集まったファンは7000人を超え、予定されていたパレードが、危険のため急遽取りやめになるほどの熱狂ぶりだったという。まさに韓流スターどころか、今人気のハリウッドスターでもなしえない偉業を、巨匠イーストウッドは50年前に既に達成していたのだ!
彼は今でも当時のことを覚えており、近年『硫黄島からの手紙』で来日した際も、「「ローハイド」のプロモーション訪日では熱烈な歓迎を受けた。日本はとても思い出深い国」と語っている。

さて、一定以上の年齢ならタイトルは当然知っている、「♪ローレン、ローレン、ローレン♪のサビのテーマソングは今でも歌える。」という「ローハイド」。50年という半世紀の時を経て、ついに5月28日(金)シーズン1のDVD-BOXが発売されることが決定!
もちろん、日本語吹替は当時のものをそのまま収録。あの故 山田康雄さん=イーストウッドの声がよみがえる!50年前、テレビの前で熱狂していたファンには感涙ものである。
幻の名作がついにDVDに・・・!という感激をもつファンもさることながら、「男も惚れる男」イーストウッドの原点は、草食系男子だとか、ちょい悪オヤジだとか、そんな名前に左右されっぱなしの、現代日本男子にこそ見てほしい。

「ローハイド」シーズン1は5月28日(金)発売。全21話 6枚組 ¥22.050(税込) 
日本語吹替版はもちろん、日本語字幕版も収録。※シーズン2は7月リリース予定、以降シリーズ続々リリース予定。
発売元:フライングドッグ 販売元:エスピーオー  品番:OPSD-B209

5月28日(金)伝説が再び幕あける・・・!!

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執筆者

Yasuhiro Togawa