1、特集上映「ニッポン★モダン1930〜もうひとつの映画黄金期」
 2、特集上映「ジャン=ピエール・メルヴィル特集〜コードネームはメルヴィル」
 3、プレイベント「第10回記念 東京フィルメックスの軌跡〜未来を切り拓く映画作家たち」
 4、審査委員長は崔 洋一監督に決定!

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■1、特集上映「ニッポン★モダン1930〜もうひとつの映画黄金期」
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 毎年、日本映画の名作を英語字幕付きで上映し、国内外で広く好評をいただいている特集上映では、東劇を会場に、松竹と共催して充実のラインアップをお届けします。

 1930年代はモダニズム文化が花開き、トーキー映画が登場し、映画は成熟期を迎えました。当時、松竹の蒲田撮影所と後継の大船撮影所では、新しい映画演出を試み、フレッシュな俳優たちを育て、モダンでお洒落な映画を次々と発表しました。流行を体現するモダン・ガール、モダン・ボーイであった新進スターたちの自然な魅力を引き出し、洗練されたタッチで演出された作品群は、今なお新鮮に輝いています。
 また、庶民的な日常生活をユーモアとペーソスを交えて描く小市民映画は松竹蒲田調と謳われ、数々の傑作が生まれました。当時、世界恐慌下の不況期にあって、しがない日常を喜劇的に捉えて笑いを誘った作品群は、今こそ再評価されるべき映画といえます。
 蒲田調のスタイルを確立し多くの監督たちに影響を与えた島津保次郎を中心に、五所平之助、清水宏、小津安二郎、溝口健二といった名匠たちの作品を集め全26作品を英語字幕付きで上映します(*)。
 また、今年は日本を代表する映画女優・田中絹代の生誕100周年にあたることを記念し、代表作「愛染かつら」「西鶴一代女」はじめ、多彩な魅力にあふれた作品を上映します。
(* …予定。短編含む。短編および一部作品には英語字幕がつきません)

◎期間
 2009年11月21日(土)〜11月29日(日)

◎会場
 東劇

◎上映作品

「隣の八重ちゃん」(1934年/77分/監督:島津保次郎)
「浅草の灯」(1937年/77分/監督:島津保次郎)
「お加代の覚悟」(1939年/56分/監督:島津保次郎/出演:田中絹代)
「愛染かつら(総集編)」(1938年/89分/監督:野村浩将/出演:田中絹代)
「西鶴一代女」(1952年/136分/監督:溝口健二/出演:田中絹代)

他、全26作品(予定)

http://www.filmex.net/2009/special_p-1.htm

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■2、特集上映
 「ジャン=ピエール・メルヴィル特集〜コードネームはメルヴィル」
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もうひとつの特集上映では、東京日仏学院との共催により、フランス犯罪映画(フィルム・ノワール)の一時代を築いたジャン=ピエール・メルヴィルの作品に光をあてます。
ゴダールやトリュフォーらによるヌーヴェル・ヴァーグという映画史的な大ムーヴメントの先駆者であっただけではなく、その後も現在に至るまで、独特な美学、その作風は、タランティーノ、ジョニー・トー、北野武ら、世界中の映画作家たちに多大なる影響を与え続けています。

映画史に燦然とその名を刻みながら、メルヴィルとその作品世界の全貌に迫る機会はこれまで日本ではありませんでした。初の本格的特集となる今回の企画は、映画ファンにとって待望のラインナップです。生涯に残した全14作品のうち、日本初公開の2本を含む13作品を上映、さらにメルヴィルについてのドキュメンタリー作品「コードネームはメルヴィル」を加えて上映します。

◎第10回 東京フィルメックス 上映作品(予定)

「この手紙を読むときは」(1953年/104分/白黒) *日本初上映
「モラン神父」(1961年/128分/白黒)
「フェルショー家の長男」(1962年/102分/白黒) *日本初上映
「ギャング」(1966年/150分/白黒)

◎東京日仏学院 上映作品(11/30-12/19)(予定)

「ある道化師の24時間」(1946年/18分/白黒)
「海の沈黙」(1947年/86分/白黒)
「恐るべき子供たち」(1949年/107分/白黒)
「この手紙を読むときは」(1953年/104分/白黒) *リピート上映
「賭博師ボブ」(1955年/100分/白黒)
「マンハッタンの二人の男」(1958年/84分/白黒)
「モラン神父」(1961年/128分/白黒) *リピート上映
「いぬ」(1962年/108分/白黒)
「影の軍隊」(1969年/140分/カラー)
「仁義」(1970年/140分/カラー)
「リスボン特急」(1972年/105分/カラー)

「コードネームはメルヴィル」(2008年) *メルヴィルについてのドキュメンタリー

http://www.filmex.net/2009/special_p-2.htm

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■3、プレイベント
 「第10回記念 東京フィルメックスの軌跡〜未来を切り拓く映画作家たち」
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2000年にスタートした国際映画祭「東京フィルメックス」が、2009年11月の開催で第10回を迎えます。東京フィルメックスではこの10年間に、アジアの若手の才能を続々と発掘・支援し、日本の観客に紹介を続けてきました。

一方で、シネマート六本木は開館以来「韓流シネマ・フェスティバル」「台湾シネマ・コレクション」「タイ式シネマ☆パラダイス」など独自の切り口による特集上映で、アジア映画ファンの根強い支持を集めてきました。

今年10回の節目を記念したプレイベントとして、過去の東京フィルメックス上映作品のうち、受賞作品を中心としてセレクト上映します。映画文化の未来を見据えてきた映画祭の「軌跡」を再確認するとともに、常に未来を切り拓いてきた数々の映画作家たちの現在を見つめ直します。

◎期間
 2009年10月31日(土)〜11月6日(金)

◎会場
 シネマート六本木

◎上映作品

「ふたりの人魚」(2000年/監督=ロウ・イエ/中国)
「ブリスフリー・ユアーズ」(2002年/監督=アピチャッポン・ウィーラセタクン/タイ)
「地球を守れ!」(2003年/監督=チャン・ジュヌァン/韓国)
「おそいひと」(2004年/監督=柴田剛/日本)
「トロピカル・マラディ」(2004年/監督=アピチャッポン・ウィーラセタクン/タイ=フランス=イタリア=ドイツ)
「亀も空を飛ぶ」(2004年/監督=バフマン・ゴバディ/イラン=イラク)
「バッシング」(2005年/監督=小林政広/日本)
「あひるを背負った少年」(2005年/監督=イン・リャン/中国)
「アザー・ハーフ」(2006年/監督=イン・リャン/中国)
「シークレット・サンシャイン」(2007年/監督=イ・チャンドン/韓国)
「サバイバル・ソング」(2008年/監督=ユー・グァンイー/中国)

http://www.filmex.net/2009/preevent.htm

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■4、審査委員長は崔 洋一監督に決定!
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いよいよ9月19日(土)より公開される、今年最大の話題作「カムイ外伝」。
その崔 洋一監督が今年のコンペティション部門審査委員長に決定しました。

審査委員長をお引き受けいただくにあたり、「どこにポイントをおいて選考されるか、どんな作品に出会ってみたいか」をお尋ねしたところ、次のように語っていただきました。

「今まで僕が持ち得なかった価値観というものを、提起してくれる作品に対して僕は非常にシンパシーを抱くのだろうと思います。
映画を撮るものにとって、映画を観るものにとって、やっぱり自分の中にどうしても積み重なってしまう、手あかのようなものをいかに落とすかというのが、新しい映画との出会いなんですね。いま申し上げたような、自分の価値観と違うものに対しての、言ってみれば新しい息吹に対してどう向き合えるか、実は自分が試されている。困難で非常にしんどい仕事なんですけども、端的に言うと、生きる喜びです。そのために審査員というのは存在するんだろうと思います」

http://www.filmex.net/2009/jury.htm

執筆者

Yasuhiro Togawa