東京では昨年秋から、山形国際ドキュメンタリー映画祭の過去の上映作品を毎月トークつきで上映するイベント「月刊ヤマガタ」を開催してきました。過去21年間に渡り、世界中から集められた“時代の映し鏡”の中から、忘れられた名作や今の時代だからこそ見なおしたい注目作を再発見し、連続上映する企画です。この春から、会場を渋谷から六本木の映画館「シネマート六本木」に移し、リニューアルスタートすることになりました。

5月号は映画祭がスタートした1989年の『オリ』を上映。
ブラジルの音楽、ダンスの中に息づくアフリカ、黒人の解放と文化の融和を描きます。
トークには、カーボ・ヴェルデ、ポルトガル、ブラジルと大西洋をまたぐシンガー、松田美緒さんをお迎えします。

上映作品:『オリ』
日時:2009年5月13日(水) open-19:15start-19:30
会場:シネマート六本木 スクリーン4(3F)
料金:当日一般1500円、シニア/学生1000円 
   ☆ 月刊ヤマガタ回数券あり。詳細はお問合せください。
アクセス:六本木駅より徒歩約2分
(大江戸線「六本木」駅5番出口、日比谷線「六本木」駅3番出口)
http://www.cinemart.co.jp/theater/roppongi/index.html
東京都港区六本木3-8-15 / TEL:03-5413-7711 

お問い合わせ:山形国際ドキュメンタリー映画祭東京事務局 http://www.yidff.jp/
TEL 03-5362-0672/FAX 03-5362-0670/EMAIL mail@tokyo.yidff.jp
※一部情報で日程が誤っておりました。正しくは13日(水)ですので、ご注意くださいませ。

『オリ』Ori
監督:ラケル・ガーバーRaquelGerber
(ブラジル/1989/ポルトガル語/カラー/35mm/93分/日本語字幕

ブラジルの音楽、ダンス、言語、生活に色濃く映るアフリカ。1970〜80年代に沸いた「ブラック・ムーブメント」を背景に、かつてアフリカ大陸の黒人文化が南米に渡った道筋をたどる。17世紀、白人による植民地支配と奴隷制に抵抗・蜂起した黒人たち「キロンボ」をキーワードに、ブラジルにおける黒人の解放、異文明の出会いと融和、生態系との調和共存と生命の祝福をポエティックに謳う。
タイトルの「オリ」とは西アフリカのヨルバ族の言葉で“頭の形成”を意味し、人生の新しいステージを迎える通過儀礼を指す。
第一回目の山形国際ドキュメンタリー映画祭(YIDFF‘89)で上映。

トークゲスト:松田美緒(シンガー)

学生時代、ポルトガルの歌手アマリア・ロドリゲスに衝撃を受け、2003年からリスボンに住み、歌謡ファドを習得する。2004年、リスボンから大西洋を渡ってブラジルへ。
2005年、リオ・デ・ジャネイロにて、ポルトガル、ブラジル、カーボ・ヴェルデをつなぐ大西洋の歌を綴った1stアルバム『アトランティカ』をレコーディング。
国内外でジャンルの枠を超え、かつ文化的ルーツをさぐりながら、様々なアーティストとコラボレーションを続けている。2008年にはブラジルにてジョナサン・ノシター監督の新作映画に出演。人と人、時間と時間、土地と土地をつなぐその歌声には彼女の旅する様々な地域の魂が宿っている。

執筆者

Yasuhiro Togawa