「ぼくんち」、「毎日かあさん」など独特の画風で人気を博している漫画家、西原理恵子の「女の子ものがたり」は、ハードカバー漫画としては異例の15万部という大ヒットを記録しているベストセラーです。今年は、「いけちゃんとぼく」、「女の子ものがたり」が映画化、「毎日かあさん」がTVアニメ化、と原作が次々と映像化され西原理恵子ブーム目前です。

 海の見える村から、山と畑と工場に囲まれた街に引越してきたなつみが出会ったのは、みさちゃんときいちゃん。大人になるまでの、しんどくてつまらなくて、けれどあふれるくらい大切な<あの頃>を誰もが思い出さずにはいられなくなる3人の女の子の成長物語。友だちとの交流を通して大人へと成長する過程を描き、逆境にあってもたくましく生きる人生模様を色彩豊かに表現した感動作です。

 36歳の漫画家・菜都美を演じるのは、『博士の愛した数式』以来の主演作となる深津絵里。スランプのさなかにいる主人公が、子供時代の友情を思い出すことで前向きな気持ちを取り戻していく様を、透明感あふれる独特の存在感で演じています。そして、その高校生時代を演じるのが、映画『北の零年』、『SAYURI』」などに好演し、今年は『カムイ外伝』 (秋、全国公開)で松山ケンイチと共演が決定している大後寿々花。さらに、小学生時代を演じるのが、実写版「ちびまる子ちゃん」でおなじみ、国民的子役の森迫永依。いま注目の“女の子”たち3人が、一人の女性の生き様を時代を超えて好演しています。

ふるさと愛媛の1本道が、なつみの人生の象徴であり、3人それぞれに共通したシーンとして登場するところも見どころです。ほかに、セブンティーン専属モデルで『守護天使』の公開も控えている波瑠、昨年『空へ〜救いの翼〜』で主演デビューを果たした高山侑子など、今年ブレイクしそうな若手女優たちが出演していることも話題です。

主演の深津絵里も撮影時のインタビューで「団体戦でがんばる感じ。きっと人間成長すれば変わっていくし、変に意識しすぎるのではなく、そこで行われる感情を大切にして、とらわれすぎずに演技した 」と、3世代の大人の部分を演じたことについて言っています。

大後寿々花コメント
深津さん演じる菜都美の子供時代を演じるにあたり、今まで深津さんの作品をたくさん見せていただいて、ぜひ共演させていただきたいと思っていたので、とても光栄です。菜都美という女の子を理解し、そのキャラクターを大切に演じるように心がけました。監督のイメージをする菜都美を大切に演じれば、自然につながると思って演じました。

森迫永依コメント
お二人のイメージは「明るくて、素直で、優しそう」!そんな深津さんが演じる菜都美や大後さんが演じるなつみはこんな感じになるのかなぁ?というのを想像して意識して演じました!菜都美は、私と比べて凄く沢山の経験を経て成長しているんだなぁと思いました。そんな菜都美の子供時代を演じることがとっても楽しかったし、私も菜都美のような経験を沢山してみたいと思いました!

森岡監督コメント
深津さんは、気さくな方ではあるんですが大人しく物静かな印象を持ちました。
でも撮影終了後の深津さんは憑き物がとれたみたいに明るく溌剌とされていて、凄くチャーミングな方だったので、撮影中は役作りの姿勢を崩さず、主人公の菜都美でつねにいられたようですね。演技に対して本当に真面目な方なんだなと思いました。

大後さんは少女から大人にかわっていく世代を演じてもらったんですが、本人はまだ中学三年生で演技に対して凄く葛藤があったようです。お父さんが亡くなって、突堤で気持ちを吐露するシーンで、いい演技を見せてくれた後の撮影は、何か吹っ切れたみたいで、凄く楽しそうでした。

森迫さんは疲れないのかと思うくらい元気で、現場を明るくするムードメーカーでした。
でもキャリアが長いこともあって、本番になるとプロとして、演出に答えてくれ、画面にはそれ以上のものが出ているのではないでしょうか。

3人に共通の演出をしている部分はありますか?
森迫さんと大後さんが左利きだったので、深津さんも無理矢理左利きにしてもらいました(笑)。でも、撮影は深津さんのシーンの方が先だったので、深津さんに癖を作ってもらい、二人にはそれを真似てもらったので、ブリリアントな主人公が出来上がりました。

プロデューサーコメント
一人の人物を3世代の方に演じていただくにあたって、どうしようもない「その人の核」みたいな部分が共通していることが重要でした。顔が似ているということよりも、そうしたムードがそれぞれ近いと感じられるかどうか、です。結果的に、世代が交代しても主人公の目線を分断することなく、その成長を描くことに成功したと思います。

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執筆者

Naomi Kanno