中国の黒澤明と呼ばれた巨匠、謝晋監督が、18日お亡くなりになられました。

日本でも、文化大革命が地方の都市にもたらした悲劇を描いた『芙蓉鎮』(1987年)が岩波ホールで19週間上映され大ヒットを記録。
92年には、中国に残された日本人孤児を栗原小巻主演で描いた『乳泉村の子』(1991年)が、同じく岩波ホールで22週間という長きに渡り上映し大ヒット。
また香港返還の97年には、歴史大作『阿片戦争』を製作。日本でも翌98年に岩波ホールで18週間上映され大ヒット。

その他『天雲山物語』や『最後の貴族』、『犬と女と刑老人』などが代表作である。
謝晋監督は、現代中国映画の基礎を築き、中国で現在活躍する監督たちに多大な影響を与え、常に発表される作品が注目を集める巨匠でありました。
現在新宿K’s cinemaで開催中の【中国映画の全貌2008】では、謝晋監督の『芙蓉鎮』『乳泉村の子』『阿片戦争』の3作品を上映します。
いずれも、めったに映画館では観られない名作です。

謝晋:プロフィール
1923年浙江省紹興生まれ。舞台活動を経て48年映画界入り。60年『紅色娘子軍』で第1回百花賞最優秀作品賞、最優秀監督賞を受賞。65年の『舞台姉妹』は文革で批評対象となる。80年『天雲山物語』で金鶏賞、百花賞最優秀作品賞受賞。81年『牧馬人』、84年『戦場に捧げる花』、87年『芙蓉鎮』はカルロビ・ヴァリ国際映画祭グランプリ受賞。91年『乳泉村の子』、92年『啓明星』、93年『犬と女と刑老人』、95年『女児谷』。97年香港返還を期して『阿片戦争』を完成させ話題に。2008年10月18日死去。享年84歳。

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『芙蓉鎮』に関する監督の言葉
『芙蓉鎮』は、文革前の時代・文革の時代・そして文革後と、十数年間にわたって受けた痛手を、ある小さな村を通して描き出したものです。主要な登場人物は8名、出てくる人家の戸数は数軒しかありませんが、この裏側には幾千万の同じような人々がいると言えます。
【中国映画の全貌2008】での上映日程
11/11(火)13:00
11/12(水)19:00
12/ 3(水)16:00

『乳泉村の子』に関する監督の言葉
かつて、日本と中国の関係を描いた映画はたくさんありました。日本軍国主義の侵略戦争を非難したものもあれば、中日両国の人々の友好友誼を題材としたものもありました。しかし、この映画は、幼い身に戦争の罪悪を背負って生きなければならなかった小さな子供を描くと同時に、偉大な母の愛を謳歌しています。
【中国映画の全貌2008】での上映日程
11/13(木)13:00
11/27(木)16:00
12/12(金)13:00

『阿片戦争』に関する監督の言葉
この作品の中で林則徐が阿片を廃棄する場面を一番慎重に撮りました。つまり、あの時に林則徐は百万キロ以上の阿片を廃棄しましたが、これに対してイギリス人は“阿片”ではなく“商品”という言葉を使って、これを貿易摩擦にしてしまいました。その結果、巨大な賠償をも要求してきたのです。
【中国映画の全貌2008】での上映日程
11/26(水)16:00
11/27(木)19:00
12/ 5(金)10:00

★【中国映画の全貌2008】新宿K’s cinemaにて開催中!

執筆者

Naomi Kanno