海外の映画祭では高く評価されながらも、ほとんど上映される機会のない優れた中国のインディペンデント作品を8本まとめて上映。
北京オリンピックで中国を身近に感じるこの時期に、これまで知らなかったリアルな中国を目撃してください。

東京:2008年8月23日〜9月5日 ポレポレ東中野
大阪:2008年9月13日〜9月26日 プラネットプラスワン

前売1回券:1300円、3回券:3300円
当日3回券:3600円、一般:1500円、学生:1300円、中・高・シニア:1000円
前売券はチケットぴあにて発売 Pコード: 479-765

インディペンデント映画にこそ、真の中国の姿がある
 中国でいうインディペンデント映画には、検閲によらない自由な表現であるという意味がある。中国では劇場公開されるすべての映画に検閲があり、その政治的制約のために真実の姿が描けないことも少なくない。それに対し、インディペンデント映画は、制限を受けずに自由な手段で表現することを求めて作られた映画あり、独自の視点でリアルな中国を描いている。
 今回上映されるのは、 海外映画祭でいま最も注目されるポスト第六世代の旗手イン・リャンの2作品『アザー・ハーフ』『アヒルを背負った少年』、中国映画では触れられることがなかったキリスト教徒たちの姿を描いた『塵より出づる』、そして福建省の高校3年生たち追うことにより「一人っ子政策の歪み」、「貧富の格差」など現代中国の問題点をあぶりだしたドキュメンタリー映画『高三』等を含む8作品。
 ぜひ、この機会に真の中国を目撃していただきたい。

【上映作品】

『あひるを背負った少年』
TAKING FATHER HOME/2005年/100分
監督:応亮(イン・リャン)
東京フィルメックス審査員特別賞
ロサンゼルス国際映画祭グランプリ
香港国際映画祭デジタル部門最優秀作品賞
シンガポール国際映画祭批評家連盟賞

ストーリー:17歳の少年・徐雲は、6年も行方知れずの父親を探すため、金銭の代わりに2羽のアヒルを背負って農村から町へと出ていく。途中知り合ったヤクザや警察官の世話になり、なんとか父親の居所を見つけ出すのだが・・・。
今最も期待される若手監督・応亮の、衝撃のデビュー作。

『アザー・ハーフ』
THE OTHER HALF/2006年/111分
監督:応亮(イン・リャン)
東京フィルメックス審査員特別賞
シンガポール国際映画祭審査員賞
全州国際映画祭グランプリ
インドネシア・アジア映画祭最優秀アジア映画賞

ストーリー:弁護士事務所で書記係として働き始めた小芬は、そこで町の人々の様々な相談事を聞いては記録に留めている。そんな彼女もまた、だらしない恋人に不安を感じていた。ある日、町で殺人事件が起こり、時を同じくして恋人が失踪してしまう。

『塵より出づる』
RAISED FROM DUST/2007年/102分
監督:甘小二(ガン・シャオアル)
ロッテルダム国際映画祭出品
香港国際映画祭出品
釜山国際映画祭出品

ストーリー:敬虔なクリスチャンの小麗は、肺を患って入院している夫の看病をしながら、9歳の娘を育てている。しかし高い入院費は払えず、病院からは退院を求めらている。一方、学校からも学費の督促を受け、次第に追い詰められてゆく。
キリスト教の観点から人間の尊厳を問う感動作。キリスト教の観点から人間の尊厳を問う感動作。

『山清水秀—息子』 (日本初上映)
THE ONLY SONS/2002年/102分
監督:甘小二(ガン・シャオアル)
バンクーバー国際映画祭で審査員特別賞
ロッテルダム国際映画祭出品
釜山国際映画祭出品

ストーリー:広東省の農村で暮らす阿水には、妊娠中の妻と親代わりに育ててきた弟と妹がいた。その弟が強盗事件を起こして捕まってしまう。このままでは死刑は確実だが、2万元あれば何とか話がつくという。阿水は弟を救うために、生まれてくる子供を売ろうと考えるのだが…。

『馬烏甲(マー・ウージャ)』
MA WU JIA/2006年/95分
監督:趙曄(ヂャオ・イエ)
中国独立影像年度展グランプリ
香港国際映画祭出品
バンクーバー国際映画祭出品
ロンドン国際映画祭出品

ストーリー:中学生の馬烏甲は、教師の母親と病気の幼い弟の3人暮らし。素直な彼は、理不尽な母親の要求も、弟への輸血も当然のように受け入れてきた。しかし、クラスの女の子に恋をした時から、彼は自分の境遇を疎み始める。
思春期の繊細な感情を、美しい映像で綴った瑞々しい作品。

『草芥(そうかい)』 (日本初上映)
WEED/2006年/99分
監督:王笠人(ワン・リーレン)
ロッテルダム国際映画祭出品
シンガポール亜裔首作映画祭出品
中国独立影像年度展最優秀新人賞

ストーリー:引越屋で働くさえない男のマーイーは、ある日娼婦のフーディエに一目惚れする。二人は次第に打ち解け、親戚に紹介するまでになるのだが、彼女の夫の出現によって淡い夢は打ち砕かれ……。
社会の底辺で生きる者たちの鬱屈した世界観が巧みに描かれている。主演はロック歌手で作家の麦子。

『高三』 (日本初上映)
SENIOR YEAR/2005年/95分
監督:周浩(ジョウ・ハオ)
香港国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞
台湾ドキュメンタリー映画祭出品
シカゴ国際ドキュメンタリー映画祭出品

ストーリー:福建省にあるごく普通の高校で、受験勉強に取り組む3年生のあるクラスを1年かけて追ったドキュメンタリー。熱血教師の指導のもとで懸命に勉強に励む生徒たちの姿から、一人っ子政策の歪み、貧富の格差、ネット中毒などといった現代中国の問題点が垣間見られる。

『最後の木こりたち』
TIMBER GANG/2007年/90分
2007年シネマ・デジタル・ソウル グランプリ
東京フィルメックス出品
アムステルダムドキュメンタリー映画祭出品

ストーリー:黒龍江省の山岳地帯で、冬山にこもって材木を伐採する男たちの姿を撮ったドキュメンタリー。極寒の中での仕事はあまりに過酷で、馬は次々と倒れていく。そんな環境で力強く生きる男たちを捉えた迫力ある映像は、淡々としながらも観るものを圧倒する。

執筆者

Naomi KannoNaomi Kanno