その、衝撃性の高い題材から、『北京バスターズ』『東宮西宮』など、中国国内で上映禁止処分となってきた、「21世紀の世界の若きリーダー100人」の一人、異才チャン・ユアン(張元)監督が、現代中国を代表する作家ワン・シュオ(王朔)による半自伝的小説を原作に、過剰な教育政策に潜む矛盾を鋭い視線で描き出した『小さな赤い花』が8月、シアター・イメージフォーラムにて公開の運びとなりました。本作は、2006年ベルリン国際映画祭・国際芸術映画評論連盟賞(CICAE賞)を受賞、4才の少年の目を通して「真の教育とは何か」を我々に問いかける衝撃作です。

8月の北京オリンピックに向けて、何かと世界の注目が高まる国、中国。
そんな中、中国国内で上映禁止処分や表現活動禁止処分を受けるなど、中国社会の問題を鋭く描く鬼才二監督の作品が、この夏公開されます。

『小さな赤い花』(8月公開)
4歳のチアンは、自分の意思をもった聡明な少年だ。
ある日、彼は両親の都合で、北京にある全寮制の幼稚園に預けられることになった。園内には、生徒の名前が書かれたボードがあり、いいことをした子供は紙で作った赤い花が貰え、悪いことをした子供は逆に没収されていくシステムがあった。「赤い花が欲しい!」といい子になる努力をするチアンだが、その気持ちが徐々に薄れ、厳しい統制に子供ながらに疑問を持ち始める。彼は周りを巻き込み反抗的な行動をとるが、最終的には園内で孤立してしまう。そんな状況に耐え切れず、自由を求めて学校を飛び出したチアンがそこで目にしたものは—

『天安門、恋人たち』(7月26日公開)
ユー・ホン(ハオ・レイ)は恋人を故郷に残し、中国東北地方から北京の大学に進学する。美しく抜群のプロポーションを持つ彼女は、友人(フー・リン)に紹介されたチョウ・ウェイ(グオ・シャオドン)と恋に落ちる。1989年当時、民主化を求める学生運動が激しくなる中、彼らは身も心も激しく求め合うが、それも長くは続かなかった。2006年度、カンヌ映画祭で上映されるとすぐに大きな物議を醸し出した。中国国内では未だにその話題がタブー視される1989年6月の天安門事件を、参加し制圧された学生たちの視点から描き、さらに中国映画ではかつてないほどの過激なセックスシーンが含まれていたためである。さらに、中国政府の許可を得ないままに国際映画祭に出品された本作に対して、政府当局から「技術的に問題がある」という理由で中国国内での上映禁止と監督の5年間の表現活動禁止という処分が下されることとなった。

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro TogawaNaomi Kanno