アメリカ映画界を代表する名監督の一人、シドニー・ポラックが5月26日夜(日本時間27日午前)ロサンゼルスの自宅で死去した。享年73歳。死因は癌で、家族に見守られながら亡くなったとのこと。
『追憶』(1973年)や、『愛と悲しみの果て』(1985年)/アカデミー監督賞受賞などのすばらしいラブストーリーから、『トッツィー』(1982年)といったコメディまで幅広く手がけ、『ザ・ファーム/法律事務所』では世界的大ヒットに導くなど、映画ファンから愛される監督として活躍した。

シドニー・ポラックは1934年、アメリカ・インディアナ州生まれ。高校卒業後、俳優を目指してニューヨークへ出た後、役者として十町に活躍しつつ、テレビ・ドラマの出演中にジョン・フランケンハイマーと知り合い、彼の勧めでハリウッドへ行く。やがてテレビの監督を務めるようになり、65年の「いのちの紐」で映画監督デビュー。20本の監督作品はアカデミー賞に合計46部門にノミネートされ、彼自身は監督賞に3度ノミネートされている。そのうち『トッツィー』(82年)と作品賞をはじめ7部門に輝いた『愛と哀しみの果て』(85年)で見事、監督賞を受賞した。80年代後半から製作側にまわるが、93年に久々に監督した『ザ・ファーム/法律事務所』が世界的に大ヒット。役者としても『アイズ ワイド シャット』で存在感のある演技を見せていた。

プロデューサーとしては、ジョージ・クルーニーと組んだ『フィクサー』(2007年)が、俳優としては『近距離恋愛』(2008年7月12日公開)がそれぞれ遺作となった。『近距離恋愛』では主演のパトリック・デンプシーの父親役として、6度目の結婚をする、老いてなおバイタリティーのある男を存在感たっぷりに演じている。