独裁化するロシア社会を象徴するような人物が、昨年死亡しました。元FSB(ロシア連邦保安庁)将校、アレクサンドル・リトビネンコ氏です。
リトビネンコ氏は、99年にモスクワなど数箇所の都市で発生した謎の連続アパート爆破事件が、「ロシア治安機関による陰謀だ」と主張していました。
なぜ、国を守るはずの治安機関が、数百人ものロシア国民を殺鐵したのか?そこには、現代ロシア最大の問題といえる、チェチェン戦争がかかわっています。この連続爆破事件を「チェチェンのテロ」と断定することによって、プーチン首相(当時)は第2次チェチェン戦争に乗り出したのです。
リトビネンコ氏は、この連続事件のひとつ、「リャザン事件」に注目します。これは、ロシアの都市リャザンで未遂に終わった爆破事件で、地元警察が発見した爆薬、起爆装置を、FSBがいち早く回収し、「爆薬ではなく、砂糖だった。テロではなく、演習だった」という不可解な発表をしていますが、これは事実を大きくねじまげたものでした。また、アパート連続爆破事件の犯人はいまも逮捕されていません。
イギリスに亡命し、ロシア政府が隠す陰謀を暴きつづけたリトビネンコ氏は、2006年11月23日、何者かが投与した放射性物質、ポロニウム210によって暗殺されました。
この集会では、6月に日本でも刊行されたリトビネンコ氏の著作「ロシア 闇の戦争」(光文社刊)の監訳を務められたロシア研究者の中澤孝之さんをお招きし、現代ロシアの実情に迫ります。

チェチェン戦争とは
ロシア南部に位置するチェチェンは、19世紀にロシアが併合した地域で、先住民族のチェチェン人が人口のほとんどを占めている。1991年のソ連邦崩壊の際、チェチェンは独立を宣言したが、94年、ロシア政府は武力侵攻を開始した。その後3年間の休戦をはさんで、泥沼の戦争が続いている。
この戦争によって、人口100万人のうち、すでに20万人の民間人が犠牲になったと言われている。

中澤孝之さんに聞くロシア治安機関の危険
特別上映[追悼/アレクサンドル・リトビネンコ]

11月23日(金 祝日)13時30分〜16時30分(開場13時00分)
中澤孝之(ロシア研究者)
岡田一男(司会 映像作家)
主催:チェチェン連絡会議
文京シビックセンター4Fシルバーセンターホール参加費:1000円
交通:東京メトロ丸の内線・南北線後楽園駅徒歩1分都営地下鉄三田線
大江戸線春日駅徒歩1分
JR総武線水道橋駅徒歩8分

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